第2章 真の貴族
第14話 模擬戦
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日本人なら大抵の人が好物である、おそらく国民食と言っても良い料理。子供の頃、この料理の非常に食欲をそそる香りを嗅いだ瞬間の心が浮き立つような感覚を懐かしく思い出す。
ふたつの高い建物に挟まれている、所謂、中庭と言うべき場所なんですけど、春の日差しを良く受ける比較的過ごし易い場所では有りますね、ここは。
それで現状については……。今更、授業に戻るのも面倒でしたし、流石にあの朝食の内容から、この世界の食事は俺の口には合わないのが判りましたから、こう言う状況に成った訳なんですけどね。
結局、俺は朝、皿の上に盛り付けられていたフルーツだけを口にしましたから。
……つまり、俺の胃袋は、朝から重い物は受付け無かったと言う事です。
そこで、運よく授業をサボる口実も出来ましたし、それに天気も良い。ならば、どうせなら外での昼食も良いのでは、とタバサに聞いたトコロ、いともあっさり了承して貰えたので、現在、飯盒でご飯を炊いて、大なべでカレーを作っている最中なのです。
もっとも、本当はダッチオーブンを使えたら、もっと簡単に料理を作れた可能性も有るのですけど、残念ながら、今の俺の知識では無理なんですよ。飯盒でご飯を炊くのなら得意として居るのですが。
「いい匂いですね」
オタマでカレーをまぜている俺の傍に寄って来た一人のメイドがそう話し掛けて来ました。
えっと、彼女は……。今朝、俺に御礼を言いに来た黒髪少女で、確か名前はシエスタとか言う、まるで長いお昼休みのような名前の少女でしたか。
「いい匂いやろう。これは、俺の故郷では国民食とまで言われた料理で、カレーと言う料理なんや。それで、一度、タバサにも食べて貰おうと思って、こうやって作っているんや。
どうや、シエスタも昼食として食べてみるか?」
自分が誉められた訳では無いのですが、少し、胸を張るようにして自慢げに答える俺。もっとも、自らが調理中の料理の香りを誉められたのですから、少々、自慢げに成っても誰も責めはしないでしょう。
それに……。
そう思いながら、火に掛けられた飯盒に視線を移す俺。
大丈夫。飯盒は合計で3つ火に掛けているから、一升二合のご飯が炊きあがる予定。
そして、カレーの方も大なべで作っているから、シエスタ一人ぐらい増えたとしてもまったく問題はない状況です。
ならば、一緒にご飯を食べる事によって、御近付きに成るのも悪くはないでしょう。
尚、現在の料理は青空の下での、ほぼキャンプ状態。つまり、石を組んでかまどらしき物を作ってから料理をしています。
基本的に、俺は夏休み中に三度はキャンプに行っていましたから、こう言う料理は得意なんですよ。
「え、よろしいのでしょうか?」
まさか、シエスタ
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