閑話ー現実と仮想の演舞ー
28.ゲームでも現実三昧
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姿が。
「あ、ああ、大丈夫だ」
上体を起こし、状況を整理する。
確か、さっきまで半仮想世界のゲームを攻略してて、スグの剣を持ってゾンビの大群に斬り込んでって.........そのあと何が起きたっけ?
「スグ、あのゲーム、結局どうなったんだ?」
「えっ!覚えてないの!」
「お、おう」
スグから聞く話によるとあのゲームは俺が攻略したらしい。だが、ボスを倒すと俺は急に倒れ、そのまま気を失ったそうだ。
スグ曰く、このあとの方が大変だったそうだ。このクリア不可能と言われたゲームをクリアしたことでそこにいたスタッフや観客から拍手が鳴り止まずなかかな外に出られず、さらにはそこに《MMOトゥデイ》の記者がいてインタビューやらなんやらで中々帰してくれず、そのまま隙を見て逃げるようにスグはその場から立ち去ったそうだ。
「なるほど。ゴメンな、スグ......俺のせいで」
「ううん、いいよ。楽しかったしね」
スグはいつもの笑顔を俺に向ける。
「なぁ、スグ。一つ聞きたいことがあるんだけど......」
「ん、なに?」
「俺たちがゲームに入ってからクリアするまでだいたい何分くらいでクリアしたかわかるか?」
「う〜ん、確か入ったのが一時二十分頃で、クリアしたのが.......四十分頃だったと思うよ。それがどうしたの?」
「いや.......何でもない」
気づいてないなら知らせない方がいいな。
あの世界で俺たちは確実に二十分なんて時間でクリアなんてしてない。
.......体感時間だけで言ったら俺たちは、あの世界に三時間は確実にいた。
「ねぇ、それよりも早くご飯食べに行こ。もうお腹ぺこぺこだよ」
スグが俺の手を引っ張り、さっきの食べもの通りを目指す。
「はぁー」
思わずため息が漏れる。
「どうしたんだい、お客さん。今日は元気がないようだが」
カウンターの中でグラスを拭く、肌茶色の体格の大きい坊主の男が聞いてくる。
「聞かないでくれ。マスター、バーボンロックで」
カウンターの向こうからグラスではなく、本が滑り俺の前で止まる。
「その本、今日発売した《MMOトゥデイ》なんだが、そのページに面白い記事が載ってるぞ」
そのページには忌々しいことが書かれている。
「お前、ふざけてるだろ。エギル」
そのページには、こう書かれていた。
【クリア不可能と言われた半仮想世界をクリアした、片手剣使いと長剣使いのカップル!男の方は、二本の剣を操り次々とゾンビを倒し、さらにボスをも撃破!!その強さはまさにチート!!】
「チートだってよ、シュウよ」
エギルはニヤニヤとした俺を小馬鹿にしたような顔で見る。
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