無印編
第十五話 裏 中 (なのは)
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い、真実を知らず、翔太から教えられたことを事実だと思い込んで滑稽に踊ればいいのだ。
アリサはなのはに何か言いたそうだった。だが、なのはに何を言っても無駄だと、悟ったのだろうか。自分を落ち着けるように深呼吸した後、一度はなのはに何か言うために浮かせた腰を再び戻した。
「ふん、あんたが何を考えているか分からないけど、どうでもいいわよ。どうせ―――」
そこまで言った後で、慌てて自分の口をふさぐ。どうやら、何か意味ありげに言いたそうだったが、しょせん、事実を知らない彼女が言うことだ。負け惜しみに決まっている。だから、なのはは、アリサがなのはと同じようにニヤニヤと嗤っていることも、すべてを無視した。
◇ ◇ ◇
帰宅したなのはは、いつものようにご飯を食べ、お風呂に入り、翔太に勧められたテレビを見て、部屋に戻り、魔法の練習をした後、あとは寝るだけという段階になって机に向かう。
なのはは、おもむろに机の引き出しから一冊の本のようなものを取り出す。それは、なのはが密に書いている日記だった。四月、翔太と出会った後にあまりにも嬉しくて、その思い出を何か形に残したくて、なのははそれ以来、ずっと毎日のことを日記に書いている。翔太と話した内容、褒められたこと、嬉しかった翔太の言葉などがメインである。
今日のことを反芻しながら、日記に今日の出来事を書き綴る。今日のメインは当然、プリクラのことだ。そのプリクラは今は大事に机の上の写真立ての中に収められている。本当は、プリクラを写真立てに飾るのはおかしい話なのだが、それ以上に大事にできる場所がなかったのだから仕方ない。
今度、プリクラ帳を買ってくるのも良いかもしれない。どこかに出かけたときに翔太と一緒のプリクラが増えれば、それはきっとすごく嬉しいことだから。
そして、話は月村邸での出来事に変わる。その辺りを書こうとすると、なのはの筆が止まる。いいことはまったくなかったからだ。出てきたのは、翔太の親友だと勘違いしている金髪の女の子だけだ。
あまり思い出したくない彼女だが、車内で不穏なことを言っていなかっただろうか。
――――どうせ。
その後に続く言葉は? どうせ、という言葉の意味を考えれば、なのはを卑下するような言葉なのだろうが、思いつかない。具体的なことは思いつかないが、大体意味は同じだろう。
―――どうせ、なのははずっと翔太の隣にはいられない。
そんな意味を言いたかったに違いない。だが、それはない。それはありえない。翔太がジュエルシードを追う限り、それはありえないのだ。
「そうだよ。これがある限り、ずっと一緒だもん」
なのはの机の引き出しの一番上にある唯一鍵がかかる場所に厳重に箱に収められた蒼い宝石―――ジ
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