無印編
第十五話
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ところから歯車が狂ってしまったようだ。
恭也さんがいれば、少しは抑止力になっただろうが、肝心の恭也さんは助手席だ。
座り方の順番は奥からアリサちゃん、僕、なのはちゃんという僕を挟んだ形だ。僕としては、女の子二人が並んで座って雑談に花を咲かせてくれればよかったのだが。その目論見は脆くも無残に砕け散った。全然、そんな雰囲気ではない。
むしろ、アリサちゃんの話が止まらない。僕に対してのみだ。もっとも、話の内容が、塾だったり、すずかちゃんの家でのことだったり、なのはちゃんを絡められないのが事実だ。僕もなのはちゃんに話を振ろうとするのだが、上手くいかない。
なのはちゃんはなのはちゃんで、アリサちゃんの元気に押されたのか、俯いたままで話し出す雰囲気でもない。僕もアリサちゃんに話しかけられて、返事をしないわけにもいかないので、なのはちゃんだけに構えない。
そんな感じの雰囲気が、僕の家にたどり着くまでの数十分間続くのだった。
◇ ◇ ◇
僕は、アリサちゃんにお礼を言って、車を降りるとはぁ、とため息をついた。
「どうしたの?」
「う〜ん、どうしてアリサちゃんがあんな行動を取ったのか分からなくて」
できるだけ僕となのはちゃんを話させないようにしていたというか、距離を取らせようとしていたような感じに思えた。例えば、そういう風に仮定できたとすると、考えられる原因は一つだけ考えられる。
「拗ねちゃったかな」
女の子とは特有の仲間意識みたいのがあるらしい。つまり、僕の親友と豪語してくれるアリサちゃんからしてみれば、なのはちゃんが原因で僕と遊べないと思えば、なのはちゃんはアリサちゃんにとって僕を取った敵になるわけだ。
先週、一応、理由を話したから分かってくれると思っていたが、頭で理解しても心では理解できないというわけだろうか。ああ、そうかもしれない。アリサちゃんは同級生と比べて大人びているといっても、まだ子供だ。理性で感情を抑えろといっても無理だろう。
「はあ、月曜日からご機嫌とらないとな」
そうじゃないと、次になのはちゃんと会った時も険悪な雰囲気になってしまうだろう。
「しかし、そうだとすると、今大丈夫かな?」
僕は海鳴の夜空に浮かぶ星空を見上げながら、アリサちゃんの車で帰っているなのはちゃんとアリサちゃんの雰囲気を心配するのだった。
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