無印編
第十五話
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われていた。もっとも、僕は最初から一ヶ月は無理だと伝えていたことから、ダメで元々のつもりだったようだが。
僕がこうしてお茶会に誘われることは珍しいことではない。すずかちゃんの家に本を借りに行ったときでさえ、簡単なお茶会程度は開いてくれるのだから。紅茶を片手に読んだ本について雑談するなんて、なんて優雅な趣味なんだろう。しかし、残念ながら、紅茶も本も借り物という情けなさ。
それはともかく、今回は頭を下げる形で、今日もジュエルシードを探しているのだが、ジュエルシード探しが終わった後、もし、お茶会に誘われたら、今度は手土産を持っていく必要があるだろうな、とぼんやり考えていた。
さて、午前中は何も見つからず、近くの公園―――海鳴は適度に都会と自然の調和がとれており、自然公園が近くに結構ある―――で、なのはちゃんのお母さんと僕の母さんが作ってくれたお弁当を食べて、さて、午後からも頑張ろうか、とベンチから立ち上がろうか、というときに、不意に何かを感じた。
奇妙な違和感というべきだろうか、どんな風に形容するべきか分からない感覚。何らかの違和感である。それは、なのはちゃんとユーノくんも感じているらしい。そして、両者ともある方向を向いて、ユーノくんが口を開いた。
「ジュエルシードが発動したっ!?」
どうやら、今日は平穏なジュエルシード探しというわけには行かなくなったようだ。しかし、このなんと形容して言いか分からない感覚がジュエルシードが発動した感覚なのだろうか。前の神社のときは欠片も分からなかったことを考えると進歩なのだろうが、なのはちゃんたちみたいに発動した方向すら分からないような曖昧さでは、なのはちゃんに追いつくのはまだまだ無理そうである。
「どこ?」
僕はこの近辺の地図を広げながらユーノくんに聞く。僕たちがいる場所と方向と距離を照らし合わせれば、どこで発動しているか、地図上ではっきり分かるはずである。僕が広げた地図をなのはちゃんと恭也さんも覗き込む。
「えっと、僕たちがいる公園がここで」
僕は持っていた赤い水性ペンで丸をつける。
「ジュエルシードが発動したのは、ここからこの方向に……えっと、距離はちょっと遠いかな。翔太の家から学校ぐらいの距離かも」
基準が僕の学校なのは、おそらく僕が授業中はユーノくんは家にいて、僕と念話で話していることを基準にしたのだろう。一週間前は、短距離しかできなかった念話だったが、一度できるようになるとコツがつかめたのか、距離だけは伸びていった。ならば、他の魔法はどうか? と聞かれると残念ながら、まだプログラムを構築している段階である。
さて、それはともかく、ユーノくんが言うように僕の家から学校までの距離を直線で書くと―――
「大体この辺りかな?」
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