無印編
第十五話 裏 前 (なのは、忍、すずか)
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中しなければならない。
マシンガンのような光を連続で浴びた猫はその巨体に似合わない「にゃごぉぉぉぉん」という断末魔のような声を出して、倒れこんだ。倒れこんだときに地面がずしんと揺れ、同時に何本か木が倒れてしまった。もはや、猫に意識はないように思えたが、少女は非情だった。
電柱の上から飛び立ち、数本の木の枝を渡った後に地面に降り立つと黒い戦斧を掲げる。同時にまた眩しいほどに集う光の球。サッカーボールよりも大きな球体になったところで、少女はそれを地面に振り下ろした。
地面にめり込んだ戦斧の先から地面を割りながら横たわった猫へと走る地割れ。その地割れが猫に到達すると、巨大な猫はまるで強力なスタンガンで撃たれたようにビリビリとその身を感電させると「みぎゃあぁぁぁぁぁぁ」という本当の断末魔を残して本当に意識を失った。
―――これは、死んだわね。
猫の冥福を祈りながら、忍は少し離れた場所に無表情で立つ少女に戦慄を覚えた。妹とさほど年が変わらないはずは無表情のまま猫の命を刈り取った。さながら、その辺りに生えている雑草を刈るように。果たして教育がよかったのか、あるいは命というものを重要視していないのか。どちらにしても、本当に手加減をするわけにはいかなくなった。たとえ、人には大きすぎる力である自らの血に流れる吸血鬼としての力をすべて解放したとしても。
忍が覚悟を決めている間にも少女は、行動を続けていた。再び天に掲げた戦斧から、一発の光が飛び出したかと思うとそれは巨大な猫の上で分散すると光の雨のように猫に降り注ぐ。もはや猫から断末魔が上がることはない。
断末魔の代わりに猫の身体から飛び出したものがあった。蒼い石だ。その表面に何かギリシア数字のようなものが浮かんでいるのが忍の目から確認できた。しかも、驚くべきことに猫の身体も正常な大きさまで戻っていくではないか。
少女はそれを見ると安心したように安堵の息を吐き、ゆっくりとそれに近づいていく。
―――もしかして、最初からこれが目的だったのかしら?
彼女の様子を見ていると、その考えも正解のような気がしたが、この月村家の敷地内に無断で侵入した時点で少女は忍の敵だ。それに先ほどから見せている攻撃は特に脅威だ。だから、彼女に気づかれる前に手を打ちたかった。特に今は獲物を仕留めた直後だからだろう。特に気を張っている様子はなかった。
「ノエル」
「はい」
極めて小声で忍は従者に声をかける。その声に応えて、ノエルは、ポケットから拳銃を取り出した。ノエルはそのまま狙いを少女に定めると続けて三回、引き金を引いた。拳銃から火薬を打つ特有の音はなかった。当然、サイレンサーつきだ。もっとも、それでも耳のいい種族―――忍の叔母のような人狼族の血を引いた人には気
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