無印編
第十五話 裏 前 (なのは、忍、すずか)
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は、月村の邸宅までは到達していないのだろう。ならば、この辺りにいるはずだ。
近くの木にじゃれている猫を尻目に茂みに身を潜ませ手を顎に当てて考えている忍の網膜の端を突然光が走った。
「っ!?」
一瞬、敵からの攻撃かと思い、さらに身をかがめて潜める忍とノエル。だが、その考えは見当違いだった。忍の目の端を横切った光は、まっすぐ飛んでいき、少しはなれたところにいる木にじゃれつく猫へと命中した。その光景を呆然と見守るしかない忍とノエル。
一方、光が命中した猫は、「ミャゴォォォン」と悲痛な声を上げてよろめいていた。
うわ、痛そう、と思いながらも忍は茂みに隠れたまま光が発射されたであろう方角を見る。光の斜線上である電柱の上に立っていたのは一人の金髪をツインテールにし、黒いマントを羽織った少女。忍の中に流れる異形の血は、普通の人間には見えない距離であろうともはっきりと見えるだけの視力を与えていた。忍の目に映った少女は、外見だけなら監視カメラに映った人物に似ている。
「ノエル」
「適合率99%。監視カメラに映った人物はあの少女だと断定できます」
当たってほしくない、という希望を少しだけ乗せて全幅の信頼を置くノエルに確認を取ってみるが、返答は無情だった。どうやら、侵入者はあの少女で間違いないらしい。
「……あんな少女が」
少女だといっても情けをかけるわけにはいかない。裏の世界には外道など腐るほどいる。年端もいかぬ少女を兵士にしたりなどまだ常識の範疇と言っていいぐらいだ。あの猫を襲っている理由は分からないが、あの猫を月村家の護衛だと勘違いしてる可能性もある。ならば、あの猫が倒れた後は月村家の邸宅を狙うだろう。
「ノエル……隙をみて一気にいくわよ」
「了解しました」
彼女たちは少女の隙を探すことにした。
茂みの中で少女の動向を伺う。どうやら、彼女はこちらに気づいていないようだ。いや、猫に気を取られているだけも知れないが。
金髪の少女が手に持っている戦斧を前に突き出す。少女が何かを呟いたかと思うと、黒い戦斧の先端にまた光が集い、球となす。その光はバチバチとまるで雷のように音を鳴らしている。そして、次の瞬間、まるでマシンガンのように次々と打ち出される光。その光景は、長らく裏の世界に浸かっている月村家長女をして不可解なものだった。
忍はあのような光を発する武器を知らない。効果から鑑みるにスタンガンに近いようなものであるのだが、あれならワイヤー式のスタンガンを使ったほうがまだ使い勝手がいい。
効率もさることながら、あのようにスタンガンの効果を飛ばせるような武器など忍は知らない。まあ、捕まえた後にでも詳しく聞けばいいか、と細かいことを考えるのをやめた。今は、目の前の状況に集
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