無印編
第十五話 裏 前 (なのは、忍、すずか)
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」
茂みに身を隠しながら、主とその従者は呆然としたような、呆れたような顔で目の前に広がる異様な光景に見入っていた。
彼女たちが、侵入者の知らせを受け、出てきたのは侵入者を発見した月村家が所有する裏の森。分類で言うならそこは月村家の裏庭という括りになる。なお、彼女たちは侵入者の存在を確認していたが、その姿までは分かっていなかった。
裏の世界に両足どころか、肩ぐらいまでどっぷり浸かっている月村家には味方も多いが敵も多い。故に敷地内に無数に監視カメラが仕掛けてあるのだが、その中の一台が、今回の侵入者を映し出したのだ。しかしながら、そこに映っていたのは黒いマントと靡く金髪のみ。顔まではしっかりと判別できなかった。
だが、分からないからといって放置するわけにもいかず、こうして忍とノエルが侵入者の対策に乗り出してきたわけだが、侵入者が映ったカメラから侵入者の進路を導き出し、その進路上であるだろうと思われる地点で待ち伏せしようと思ったところ、彼女たちは不可思議な存在に出会うことになる。
それが先ほどの彼女たちの発言にある猫である。
そう、猫である。犬とペットとしての人気を二分し、犬にはないクールなところと猫鍋などで知られるようになった愛らしさで人気の猫である。月村家では、ペットとして猫を飼っている。もっとも、一般家庭で飼える猫の数をはるかに凌駕したに24匹という数の猫ではあるが。
確かに月村家で飼っている猫の数は多い。多種多様な猫がいる。
だがしかし、今、目の前にいるような猫は見たことがない。いや、存在しているはずがないのだ。
―――高さ10メートルを超える木よりも大きな猫の姿など。
「一体、何なのかしら?」
「分かりません。しかし、もしも、この敷地に持ち込まれた実験動物だとしても、あの大きさをここまで運んでこられるとは到底思えません」
裏の世界は広く深い。確かに探せば、あのような大きさの猫を作るような実験動物も存在するかもしれないが、よりにもよって月村の敷地内に持ってくるとは考えにくい。しかも、あの大きさだ。今の今まで周囲に一切悟られることがないというのは、不可能に近いだろう。ならば、あの猫はどこから現れたのか、という最初の問題になり、結局は堂々巡りになってしまうのだが。
「猫に侵入者。問題は山積みね」
しかし、確かにあの猫は大きさが問題ではあるが、危険な行動は一切取っていない。本当に猫がそのまま大きくなったという感じで遊んでいるようにも思える。つまり、月村家には害はないと考えて良いだろう。
ならば、やはり問題は猫よりも侵入者だ。早く見つけなければならない。万が一、家の中に侵入されたのならノエルがすぐに気づくはずだが、未だノエルから何も反応がないことを考えても侵入者
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