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リリカルってなんですか?
無印編
第十四話
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仲介したとしても、僕たち側の仲間に入れてくれ、と言っても無理な話だ。僕はいいだろうが、他の面々が許してくれないだろう。だから、僕は彼らに昨日までの下級生を仲間はずれにしていたことを謝ることで、他の面々を納得させた。

 他の面々も彼らが「ごめんなさい」と謝ると案外、簡単に過去のことは水に流してくれた。子供なだけにごめんなさいの一言で片がついてしまうのかもしれない。これが、高校生や大人になるとそうもいかないのだが。

 さて、ここでようやく僕が中庭にいる理由になる。あと一人、サッカーのためにグラウンドに出てこなかったケンジくんを探しにきたのだ。彼とて、いつまでも僕たちと仲違いするつもりはないだろう。彼が好きなサッカーは一人でできるものではないのだから。

 仮に4年生になって士郎さんの翠屋JFCに入部したとしても、僕側についたクラスメイトたちの何人かも入ることを考えれば、彼らとチームプレイはこのまま放っておけば難しい問題になるだろう。この手の問題は長引けば長引くほど厄介なものである。

 なにより、僕は先生に解決できるといってしまったのだ。もしも、今日の放課後までに解決できなければ、おそらく両方ともの呼び出しだろう。そこでケンジくんが暴力を振るったことを先生から叱られ、僕に謝ることになるだろう。それはおそらく間違いないと思う。

 だが、先生から強要された謝罪に意味はないだろう。その場では取り繕えるかもしれないが、本人が謝る気持ちがなければ意味がない。むしろ、先生という強者による強要では、僕に対する憎悪が増える可能性だって考えられる。そうなると早期解決はきっと不可能になってしまう。

 だから、僕は昼休みという時間に話をするためにケンジくんを探していた。

 彼の姿は、中庭にあった。手に持ったサッカーボールをぽんぽんと校舎の壁に向かって一人で蹴っていた。上手いことに、蹴ったボールは壁に跳ね返りながらもしっかりとケンジくんの足元に戻ってきていた。

 だが、彼のボール捌きを見ているだけで昼休みが終わってしまっては元も子もない。

「ケンジくん」

 僕は一歩踏み出して、ボールを蹴っているケンジくんに声を掛けた。

 ケンジくんは僕に気づいているのか、気づいていないのか、ボールから視線を外さない。だが、僕が声を掛けた後、跳ね返ってきたボールを蹴り上げて、手におさめるとようやく視線をこちらに向けてきた。

「なんだよ」

 不機嫌ということを押さえようともせず憮然とした態度で僕に返答するケンジくん。

 彼の心情も理解できる。昨日殴った人間が、躊躇もなく声をかけてきたのだから。何かあるんじゃないか、と疑ってかかるのは当然だ。

「どうして、仲間外しなんてしたの?」

 いきなり切り込んでみた。僕にはケン
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