二話〜ゴートゥー転生の間〜 2月24日修正。
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そもそも、遠隔で人を消滅させるということ自体が常人の為せる所業でない。
俺が知っている魔法で消滅魔法を使える人物と言えば全て、魔王の側近だとか
どこかの賢者さんだとか最早、一人で軍隊を複数相手取ることが出来る実力の持ち主くらいしか、俺には思いつかない。
嗚呼、そう言えば俺の師匠が殺されたのも消滅魔法の使い手だったかな……。
今の俺の戦い方の基礎を作ったのは師匠と父さんのお陰だったし、その戦い方と精神を身に着けたことで、この世界を偶然にしろ生き残れたこともあるから感謝してもしきれない。
だが、その恩師が目の前で殺されるのを見るってのは中々に嫌なもんだ……。
現実逃避をしている間にも死体は続々と消えてゆき、床が見え始めてきている。
「……もういいや。いつも通り魔力コントロールの練習でもしとくか」
半ばどうにでもなれと思い、毎日繰り返していた修行をすることにした。
皆がいなくなってからは、故郷の近くで朝から晩まで体術と魔力コントロールの修行をしている。
体術は、今までに教わった動きを己の出せる限界を超えた先のレベルにまで洗練させて、魔力コントロールでは、魔力を物質化し、そんじょそこらの魔法使いとは比べものにならないほどの精密なことが出来るようになった。
空気を椅子にするのなんて、序の口だ。
……だが、このことを伝える人はいない。あの世界には俺一人しか存在していないような気がした。あの場所にいたのは俺一人。あそこに近づいた者は魔物であろうと、冒険者であろうと、精霊であろうと、皆殺しにした。
もう、あの世界の住民の誰にも会いたくなかった。
あいつらがいなくなった途端、酷く色褪せた世界に変貌したかのようだった。
「あ、やべえ。死体無くなった」
……本当にどうしようか。逃げ場が無いのだが。
そう思った瞬間に目の前が暗転した。
「ここは……」
先程の血生臭い場所とは一転、事務室然とした部屋に立っており、棚には大量のファイルが並べられている。「第一期転生者」、「第二期転生者」と言う文字がファイルには記されてあり、同じようなファイルがずらりと大量に並んでいる。
ぱっと、最後の方に目を向けると「第五十期転生者」と書いてある。
随分と長く続いていることのようだが、転生者……? 何故転生者という名前でファイルが閉じられてある。……いや、何か思い出せそうな気がするんだが、何だったか……転生する前に何度も聞いたことのある内容だった気がするんだが。
一旦悩むことを止めて、目の前を見ると拳大の光の玉が四つ、事務用の机の上にふわふわと浮いている。そして、その光の玉の中心に緑色の髪を肩まで伸ばした妙齢の女性が肘を机に立てた状態で手を組み、こちらを見ていた。
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