切嗣さんが可愛いお姉さんを召喚しましたー
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「聖遺物が届いていない?」
「ええ。どうやら、雪で配送が遅れていて今日中に届かなくなってしまったって」
「それはまた、アハト翁も手配の悪いことで……」
「まったくよね……はぁ」
溜息を吐く妻のアイリを見ながら、少し思考し立ち上がる
「……いや、ある意味では有り難いかもしれない」
「どうして?」
「今日届く、という事で僕達は準備していた。陣も描いて、だ。なら、届かなくなったという事を理由に、先に召喚の儀をしてしまってもある程度は言い訳できるだろう? 陣が勝手に起動したとか適当に言えばいい。自分に合わないサーヴァントを与えられる位なら、触媒なしでした方がずっといい。僕が呼ぶならきっと、アサシンかキャスター辺りが宛がわれるだろうからね」
触媒を無しで召喚した際、サーヴァントは召喚者に似た物が呼ばれると言われている
きっと自分が呼べば、その通りのクラスが与えられることだろう
これが酷い屁理屈の類だという事は理解している。確実に、アハト翁は激怒するだろう
だがそれでも、自分と会わないような勇猛果敢な英雄様を押し付けられるのは出来れば御免したい
自分が望むのはあくまでも誇りを捨て、倫理の外れた下法にも手を貸してくれるような道具の類
だが、頭の固い翁はそんなこと理解を示さず、あくまでも性能だけで見た豪傑を、ほぼ確実だがセイバーのランクを寄越すだろう
ならば先に喚んでしまえばいい。怒りは後で受けよう
「おじい様、きっと怒るわよ?」
「分かっているよ。だがそれでも、御綺麗な英雄様を宛がわれるよりは、よっぽどましな結果になるはずさ。そもそも、性能だけで選ぶのならば僕がマスターになる意味が無い」
数値だけで見てサーヴァントを与えるのなら、自分はマスターなどでなく、あくまでも協力者で十分なはず
それだというのにわざわざマスターにし、合わない英雄を与えるだなんて意味が無い
あの翁は相性という物を理解していない。紙の上だけで物事を決める。実地を知らない、と切嗣は小さく溜息を溢す
アイリと共に喚ぶための工房へと向かう
既にそこには水銀で描かれた円を基本とした召喚の陣が描かれている
それは今朝、ほんの二、三時間前に描かれたばかりの物。後は、中央に今日運ばれてくるはずだった触媒を捧げるだけ
アイリが一歩下がるのを確認し、中央に何も置かないまま、切嗣は回路を起動。魔力を通す
「告げる―――」
言葉と鳴動するように陣が輝き始める
体の中の回路は魔力を貪り、もはや人体のパーツからはかけ離れた、一個の機会として脈を打ち始める
「誓いを此処に。我は常世全ての善となる者。我は常世全ての悪を敷く者―――」
本来人間の体にあるはずのない器官が、全身に張り巡らされた回路が鈍い痛み
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