一話〜プロローグ〜 2月21日修正
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……だが。
「皮肉なもんだ」
そう言って俺は自嘲する。いつもはここで誰かが笑いながら自分を卑下するなと言ってくる所だ。
元の世界に必ず帰ろうと五人で誓ったのに、今生きているのは俺一人。
全く。あの中で最も脆弱で、醜い俺だけが生き残るってのはどんなふざけた状況だろうか。
二十年前、世界は魔王を倒して平和になったが、俺の世界はあの時全てを奪われた。
初めて、田舎から街へと繰り出した時に助けた、俺より外見上少し年上の少女。
何時の間にか勇者として召換されて精神が不安定だったにも拘らず、何時も俺のことを気にかけてくれて……
そして、俺を庇って死んでいった。
尊大な態度で常に俺たちに少しのイライラを届けてくれた少年。
実際は言動が一致しないだけで本当は心優しい少年で、いつもその治らない態度に悩んでいて……
そして、皆を守るために自身を生贄に、竜王を道連れにした。
前の世界で唯一生き残った親友。
勇者としてふざけた身体能力を付けて召換されていて、ただただ無気力に魔王討伐へと向かっていった。
俺達に会って昔のようにつるんで、一緒に魔王を倒しにいって……
そして、絶対零度で氷付けになりながらも魔王の側近の心臓を素手で握りつぶし、心臓の鼓動を止めた。
共に死んで転生し、子供の頃から一緒に頑張ってきた親友。
魔力さえ籠めれば何でも作れるチートな能力を持っている上に、俺らの中でずば抜けた魔力量を持っていて…
そして、死ぬ間際の魔王の悪あがきに巻き込まれ、呪い殺された。
呪いによって足元から徐々に消滅していきながらもあいつは笑っていた。
「テオだけでも、地球に帰ってくれ」と。
ふざけるな。
お前らはそこで死んでよかったのかよ。
何で俺を庇って死んだんだよ。 そんな守られる価値のある存在じゃねえよ。
何で自分の身を生贄にまでして倒すんだよ。 まだ他に方法があったはずだろ。
何で無理してまで倒しにいくんだよ。 皆で力を合わせれば全員生き残って勝てたかもしれないだろ。
何で皆笑って死んで行くんだよ。 お前ら皆で地球に帰るって約束したじゃねえかよ。
何で俺だけを残して行くんだよ。寂しいだろ。
「…………あん?」
霞む視界の端の違和感に気づき右を見ると、そこには藍色の扉が空中に佇んでいる。
手元の鍵を見るとガタガタと生き物のように中で暴れ回っている。
やがて手の拘束から外れると、扉の鍵穴に吸い込まれるように一直線に飛び込んで行き、カチリと鍵が開けられる音が耳に届いた。
瞬間、勢いよく扉が開け放たれると同時に、その扉を中心に強烈な引力が発生する。
そ
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