IF 聖杯戦争四次五次
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「急いだ方がいいぞ、凛。時間は、思うよりもあるわけではない」
『分かっているわよ綺礼。あんたに言われるまでもない』
電話口から聞こえる声に男――言峰綺礼は苦笑する
「そうは言ってもな、君はいざという所でミスをしてしまう。サーヴァントを呼べない、等という事になったら笑い話にもならん」
『馬鹿言わないで。そんな初歩的なミス、この私がするわけないでしょう?』
電話口の向こうにいるはずの少女――遠坂凛はいつも通りの口調で返す
自分が間違うだなんてありえない。そう信じているような口調に綺礼は相変わらずだと思う
磨き抜かれた稀代の才と、それを支える弛まぬ努力。そうであるが故の自信からの物なのだろう
毅然としたその言葉に、綺礼は彼女の父親を思い出してしまう
だからつい、言ってしまう
「そうは言うがな。聖杯戦争と言うのは君の父、時臣氏でさえも――――」
『―――お前が言うな!!』
言おうとした言葉は、しかし少女の怒声に遮られる
しかし、冷静な彼女はすぐさま気を取り直し、言葉を続ける
『……ゴメン。ちょっと感情的になってた』
「いや、君が気にすることはない。私が軽率だった。済まない」
そう、彼女に非などあるはずはない。自分が軽率だったのだ
課せられた職務を、全うできなかったのは自分なのだから
「私は十年前、時臣氏を助力するはずだったのにそれを成せなかった」
『……もういい』
助けるはずだった相手を死なせ、あろうことか自分はおめおめと生き延びてしまったのだから
「それどころか死なせてしまい、私自身が生き延びて―――」
『もういいって言ってるでしょ! 聞け、馬鹿綺礼!!』
自責の念に包まれていた所を、叱責される
『そんな話、何度も聞いたわ。言ったはずよ、もういいって。あんたが悔やんでることは知ってる。どうしようもないほどに自責の念を感じてることも知ってる。でも、あれはあんたが悪いわけじゃない』
「だが……」
『確かに、あんたの責任も零ってわけじゃない。けど、それでも負けたのはお父様なのよ。強い物だけが生き残り、死ぬのは敗者。お父様の考えが甘かっただけ』
それは何度も聞かされた言葉。けれど、綺礼には受け入れることが出来ない言葉
『お父様は全力で戦い、そして負けて死んだ。悲しいけれど、確かにお父様は全力を尽くし、その果てに負けたはず。それを、「自分の助力が甘かったから」ですって? ふざけないでよ。お父様の戦いを、あんたなんかが馬鹿にするな!!』
気にするなと、馬鹿にするなと彼女は声を大にして叫ぶ
強いな。と、そう思えてしまう
その言葉に偽りはないのだろう。それどころか、こちらを気遣ってさえいる
だが、自分にはそんな風には受け入れら
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ