エヴァー・ギフト
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「きっときみは、みんなを幸せにするために生まれてきたんだよ!」
その答えと笑顔を受けて、私は
「そうか」
何も、心が揺れなかった
「ではな。もう、用もないだろう」
「手伝ってくれてありがとう!」
何一つ思う事のないまま、部屋の外へと足を向けた
歩きながら、思う。
きっとあの言葉や笑顔で何も思わないというのは、何も感じないというのは可笑しいのだろう。
少なくともあの笑顔は今まで見たことのある者の中では一番純粋という言葉に該当する物だった。
病院にいる子供たちはみなどこか一般的に言われる子供らしさを欠いた者ばかりで、ああいった年相応と言えるだろう笑顔など一人としていなかった。
初めて見た同年代の“年相応”な笑顔。それに感動を、喜びを、共感を、愛情を、依存を、嫉妬を、同情を、憎しみを、憧れを、怒りを、何一つとして感じず、僅かな切なさしかなかった自分はやはり違うのだろう。
感じたことなどなかった、ただ、“自分とは違う”ものがいただけ。そうと認識しか出来なかった。
理解できるものなどなく、理解するに値するものなどなかった。
『ジャンプを読みに行こうと思ったら、珍しいこともあったもんだ。数日前に会って別れた可愛い女の子と出会えるなんて、僕もジャンプの主人公みたいになれるのかな、なんて思っちゃうじゃないか』
『あ、でもこれが曲がり角じゃないから違うのかな。ねえねえ、ちょっとそこまで行ってパン買ってきてよ。三分で』
だからこそ、只何かに惹かれる様に外に向かったのかもしれない。
そうして外に出て見たのは、一人の少年。
会って直ぐにそんなことを言われ少々面食らったのか、それとも今の自分の心境故に下らないことに付き合ってみたくなったのかつい言い返してしまう。
「知っているか? それはカツアゲと呼ばれるものだ」
『え、カツアゲ? まるでそれじゃ僕が不良みたいじゃないか! 僕はチャンピオンよりジャンプ派なんだ、そんなことするわけないじゃないか。ぷんぷん。喧嘩なんて嫌いだし、雨の中犬を拾うだけで悪行がチャラになる様なバカげた話には興味がないんだ。そう思わない?』
「生憎だが、ジャンプとやらもチャンピオンとやらも読んだことがないのでな。聞かれたところで何も答えられん」
『えー(棒)。な、なんだってー(棒)。それは人生の一パーセントは損してる、直ぐにジャンプを読むべきだよ。今日もインフレ起こして悟空が元気に敵を殴り殺してるのが見どころだよ!』
「チャンピオンとやらより、そちらの方が問題ではないのか?……まあいい、それよりも何の用だ。私は今少し機嫌が悪い」
『えー? 何って言われても……ラブコメ? 病院から出てきた病弱の女の子と、必死で彼女を思う男の子二人の愛憎まみれ
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