「神」のみぞ知るセカイ
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る自分の役割というのなら、暫しこの少女の寸劇に付き合うのも仕事だろう。
だから今自分がすべきは少女の舞台に上がり踊ること。寸劇を完成させること。
「ああ、よろしく頼む」
歩は少女の手を取った。
既に終わった物語。始まる物語。
ここに地は終わり今新たな海が始まる。
組むは神と悪魔。演じるは救世主。刃の傷を持つ子たちの傷の治療。
悪魔が付いた悪魔の子達。その抉られた傷は極大の空虚を生む。
救うは悪魔の子。救われるも悪魔の子。踊るは神の紛い物。
短い命を燃やし、青年は役目を果たす。
「なあ、あいつ元気でやってるかな。どうしてもあいつの顔が浮かんでダメなんだ。私はダメな弟を持っちまったよほんとさ」
「爆弾で死んじゃうのって一瞬なんですよ。あっけないほどに簡単に肉片になっちゃいます。何度も、何度も、何度も。少し疲れちゃいました」
「オレの兄は、本当に満足に死んでいけたのだろうか? 止められたのではないかと、そう思ってしまう。抗うと決めたのにピアノが弾けないんだ」
傷に魅入たられた悪魔の子達。今再び、神は彼らと戦う。
「お久しぶりです歩さん。来ちゃいました」
かつての相棒と今の相棒。崩れゆく体を動かし、青年は義務でもなく責務でもなく、己が感情で動く。
それは全ての精算。この時は失われると理解しながら、動くことを止められない。
「何であんたがそこまでするのよ!? 裏切られたんでしょ! 捨てられたんでしょ!! ……もっと、もっと自分を大事にしてよ。お願いだから。何で、何でそんなにあんたは……」
「悪い。それは男の子の秘密だ」
青年の全てを知り少女は叫ぶ。あんまりだと。
いずれの時を動かすため、青年は音符を描く。
綴られた楽譜はいつかの為。いずれ会うその時、あいつの為だけに聴かせる音。
彼だけが知るセカイを。たとえ片手になっても、弾ける音を。
螺旋×神のみ 「神のみぞ知るセカイ」
運命がまた動く。
coming すまない
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