フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第四十二話 静かなる御業
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ある。そして、会話が途切れあたりが静寂に包まれると、どちらからともなく地面を蹴った。
◆
ソレイユとフォルテの間に飛びかうのは、二振りの剣でありながらも幾つもの剣閃。並みのプレイヤーでは眼に捉えることもできない速さで宙を翔けている。防がれ、避けられ、去なされ、流される。そんな中、ソレイユの刀の放つ紅色の残光とフォルテの野太刀の鈍色の残光が数えられないほど光っている。
「あの時の攻撃はしないのな!」
斬り合っている最中でも、フォルテは軽口を叩く。フォルテの言うあの時の攻撃とは昨日、ルシフェルを襲っていたサラマンダー部隊の内、二人を撃破した攻撃である。それを悟っているソレイユはその軽口に素直に返す。
「前のタイトルでもそうだったんだが、少しばかり溜めが必要なんだよ!」
「それはいいことを聞いたなっ!一先ずは、あの攻撃を警戒しなくていいわけか!」
そんなことをのたまうフォルテにソレイユは少しばかり頭にくるものがあった。
「・・・あれができないからって、おれが弱いとは限らないぞ!」
その言葉と共に、ソレイユの刀の速度が増した。フォルテはその速度に瞬時に対応してくるが、その顔には少しばかり苦味が出ていた。
野太刀で防御しようにも、それをすり抜けるようにソレイユの刀がフォルテを刻んでいく。何とか急所を外しているが、このまま守っていても徐々にHPが削れるだけなので負けじと反撃を試みるもあっけなくカウンターで返されてしまいあっという間にHPゲージを緑からイエローへと色を変化させてしまう。
「支援魔法も使用せずにその強さかっ!嫌味にもほどがあるだろ・・・」
そうぼやきつつも、ソレイユの猛攻に対処できないと踏んで魔法で牽制しながら距離を取るフォルテ。対してソレイユは追撃はしなかった。かわりに刀を鞘に納め、居合いの構えを取る。それは奇しくも【最上位剣聖剣技≪ワールド・エンド≫】に非常に酷似していた。しかし―――
「あれで来るつもりかよ・・・」
一度ソレイユの居合いを見ているフォルテは逃げる選択肢を捨て、野太刀を正眼に構え肩の力を抜き真っ直ぐとソレイユを見据える。あたりに緊張が走り静寂が空間を支配する。数刻を経てソレイユが大きく息を吐きながら柄に手をかけ刀を抜くのと同時に地面を蹴った。
―――構えこそ≪ワールド・エンド≫に酷似していたが、放たれた斬撃は全くの別物だった。
【それ】は、ただ静かに抜き放たれた。ただ静かに宙を翔けた。そして、ただ静かにフォルテの体を撫でた。迎え撃とうとしたはずのフォルテは何が起きたのかすらわかっていない。いや、フォルテだけではなかった。ソレイユを除くその場にいる全員が何が起こったのかわかっていない。
だが、次の瞬間フォルテのHPがイエローゾーンから残り一ドッ
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