フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第四十二話 静かなる御業
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こそこそと好き勝手話し合う仲間達にフォルテは今すぐ魔法をぶちかましてやりたいと思ったが、それより先にすることがある、と思い止まった。何かを決心したように一息つき頭をガシガシと掻き毟りると、こそこそ話していた三人がくわっとフォルテに視線を集めた。しかし、残念ながらその三人が思う展開にはならなかった。
「はあ・・・ソレイユ、もういいだろ?」
「ああ、十分楽しめたからな」
けろりと今までの表情を悪戯な笑顔に変え、フォルテの言葉に頷く。
「お前ってそういう奴なのな・・・」
「ああ、残念ながらな」
若干テンションが下がったフォルテの言葉に、笑顔で肩を竦めながらソレイユは肯定した。その一連のやり取りを見ていたフォルテの仲間達のうち二人はこの展開を予想していたかのように、残り一人は状況を読めないまま軽く混乱していた。
「「こんなことだろうとは思った(がな)」」
「え?え?ど、どういうことっすか・・・?」
「全部あっちの演技だったってことっしょ」
「正解だ。それから俺は男なんで、そこんとこよろしく!」
ソレイユの言葉を聞いた混乱していた人物はぽかんっという表情した後、絶叫した。
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
その声の一番の被害にあったのは近くにいたフォルテたちだった。洞窟なため必然的に音と言うものは反響してしまう、それは声とて例外ではない。遠くに残響を残しながら声を上げた張本人は仲間達から罵りを受け、ソレイユはそれを面白そうに見つめていた。
◆
「なかなか、愉快な仲間だな。昨日とは大違いだ」
「昨日の奴らは特になんでもねぇ奴らだよ。モーティマー・・・馬鹿領主の命令でな」
疲れたように溜息を吐くフォルテにソレイユは苦笑いを禁じ得ない。領主を馬鹿扱いするとは何とも豪快というか、無謀というか迷うところである。
「それよりも、そこにあった宝箱はお前が開けたのか?」
「ん?ああ、そうだけど?」
フォルテがソレイユの後ろにある宝箱のことを差しなながら尋ねてきたので、ソレイユは素直に答えた。
「何が入ってたんだ?」
「本みたいなアイテムだけど?名前は―――」
メニューウインドウを操作し、アイテム名を探そうとしたソレイユだがそれより先にフォルテの口から名前が上がった。
「―――【グリモワール】」
「そうそう、それだ。そのグリモワールってやつだけだったぞ?」
そのアイテム名を聞いた途端、フォルテの眼光が鋭くなった。フォルテだけではなく、フォルテのお供である三人のうち二人の眼光も鋭くなっていた。
「ソレイユ・・・」
「うん?」
「そいつを渡せ」
今までにないほどの迫力でフォルテは
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