第十話 報酬と贈り物
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す」
「しかし、だからと言って簡単に落とせるものではあるまい。まして卿らにはまとまった兵力は無いだろう」
金髪の言葉に野郎の部下達が同意するかのように頷いている。
「そうですね、我々には大きな兵力は無い、つまり外から攻めたのでは要塞は落とせない」
「要塞内に入ったと言うのか、しかし」
金髪の言葉に親っさんが頷いた。
「簡単には入れません。ヤン提督は帝国軍人に偽装して兵を要塞内に潜入させました。当然ですが同じ手は通用しません、反乱軍の兵士に偽装しても身元証明によりあっという間に素性がばれるでしょう……」
「……」
誰も一言も喋らねえ。黙って親っさんの言う事を聞いている。格好いいぜ、親っさん。俺には親っさんの言ってる事は半分も分からねえが皆親っさんの言う事を聞いてるんだ、痺れるぜ。
「偽装が無理なら帝国人として潜入させるしかありません。そして今ならそれが可能です」
「可能?」
金髪が訝しそうに声を出した。金髪だけじゃない、皆困惑した様な表情をしている。
「大規模な内乱が発生しているからこそ可能な手段、……亡命希望者として要塞内に潜入させる」
「そうか!」
金髪が叫ぶと彼方此方で声が上がった。皆興奮している。親っさんはそんな連中を静かに見ている。クールだぜ、本当に痺れる。
「ヤン提督は司令部の管制機能を三か所に分けたようです。言ってみれば頭を三つ持っているようなものですがイゼルローン要塞の心臓は一つ……」
「それは」
「レンテンベルク要塞と同じです。核融合炉を押さえさせました。その後は三つの頭に降伏しなければ心臓を潰すと言えば良い……」
さっきまで有った興奮は無くなった。皆、親っさんを見ている。親っさんが笑みを浮かべた。
「あそこには兵達の家族、女子供が多く居るんです。誰も彼らを放射能の危険には晒したくなかったのでしょう。大人しく降伏してくれましたよ」
式場がシーンとした。誰も何も言わない、ただ笑みを浮かべている親っさんを見ている……、金髪もだ。ややあって親っさんが金髪に話しかけた。
「元帥閣下、イゼルローン要塞、御笑納頂けますか」
金髪が唾を飲みこむ音が聞こえた。
「ああ、有難く、頂戴しよう。黒姫一家の厚意に感謝する」
彼方此方で息を吐く音が聞こえたぜ。いや、俺だって息を吐いた。なんかスゲエ緊張した。
「ただ、引き渡しに於いて二つの条件が有ります」
「うむ、聞こうか」
「元帥閣下にお納めするのは要塞のみ。要塞が保有する艦船、捕虜、物資は黒姫一家の物とする」
え、それってもしかすると、美味しくないか。
「良いだろう、こちらは注文を付けられる立場ではない」
「もう一つは、黒姫一家に対してイゼルローン回廊の通行
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