第十話 報酬と贈り物
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た。
「閣下にとっても統治の判断材料が手に入るのです。悪い事ではないと思いますが」
金髪が声を上げて笑い今度は親っさんが苦笑した。
金髪が笑いを収めた、親っさんもだ。二人とも視線を逸らさない。やべえ、緊張する、息が苦しいぜ。
「五年か……、ずっとと言うのでは気が重いが……、良いだろう、受け入れよう」
「有難うございます」
彼方此方で息を吐く音が聞こえた。多分皆息苦しさを感じていたのだろう。
「では二つ目として我々黒姫一家に反乱軍との交易を行う権利を認めて頂きたいと思います」
「交易? 反乱軍とか」
「はい、フェザーンに中継貿易の利を独占させる事は無いと考えます」
親っさん、お金の話は? それは最後? 最後に吹っ掛けるって言う事ですか。揉めますぜ、そいつは。金髪は金に煩いから……。
「それは構わないがフェザーンがそれを許すと思うか、いや許したとしても反乱軍が卿らを受け入れるかな。アムリッツアでは随分と煮え湯を飲ませたはずだが」
笑うなよ金髪、お前が笑うと他の奴も笑うだろ。上手く行くわけねえだろ、笑わせるな、そんな風に聞こえるぜ。
「それはこちらの営業努力で何とかしようと思います。ですが先ずは帝国政府の許可を頂きたいのです」
営業努力かあ、親っさん、決して楽じゃありませんぜ。フェザーンの事務所の連中から時々話を聞きますが、フェザーンの連中は俺達をかなり嫌っているとか。フェザーンの自治領主府もフェザーン商人も俺達にはなかなか仕事を回さないそうじゃありませんか。そんなもの貰ったって役に立つとは思えませんけど……。大体反乱軍の領内に入ったら俺達縛り首ですぜ。
「良いだろう、認めよう」
「有難うございます」
親っさんが金髪に向かって一礼した。あーあ、認めちゃった。まあ認めるよな、金髪にとっちゃ痛くも痒くもねえ話だからな……。さあて、こっからが本番だぜ。金髪も表情を硬くしている。ケチだな、ウチは正当な代価しか貰わねえぞ。お前は自分の命、いくらで買うんだ?
「では最後に閣下より黒姫一家に対して感謝状を頂きたいと思います」
「感謝状?」
金髪が目をパチクリしている。いや俺もだしウルマン、ルーデルもだ。お金は? 親っさん、お金、俺達の給料……。金髪の部下も狐に化かされたような顔をしてる。ニコニコしてるのは親っさんだけだ。
「はい、感謝状です。昨年貰うのを忘れましたので二枚、黒姫一家の働きに感謝している。子々孫々に至るまで忘れることは無いだろうと記した閣下の直筆の感謝状を頂きたいのです。私達にとっても家宝と言って良い品になると思います」
親っさん、金髪の感謝状って何です? そんなもの貰ったって何の役にも立ちません。お金を貰いましょうよ、お金。一人頭四万帝国マルクはい
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