第十話 報酬と贈り物
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さんを放っておかねえ、なんてぬかしやがった。六十過ぎの婆さんがだぜ。俺が二十じゃ足りねえ、倍の四十は要るだろうって言ったら箒で俺の頭を思いっきりぶっ叩きやがったぜ、年をばらすんじゃねえってな。エライババアが居たもんだ。
「有難うございます。では代価として三つ頂きたいものがございます」
「三つか」
「はい」
なんだかなあ、金髪は警戒心を露骨に出してるぜ。
お前なあ、そんなに警戒するんなら最初から断れば良いじゃねえかよ。黒姫の協力なんか必要ねえって。そうじゃなきゃ報酬はこれだけ、お前はその分だけ働け、そう言えば良い。お前みたいな客は一番嫌がられるタイプだぜ。仕事させといて後からブウブウ言う。俺達の世界じゃそう言うのはブヒちゃんって呼ぶんだ。ブウブウブヒちゃんってな。
「まず一つ目は辺境星域についてのお願いです。今後五年間、政府において辺境星域に関わる政策を執行する場合は事前に辺境星域住民の協議を必要とする。受け入れて頂けるでしょうか」
え、何それ、初っ端はお金じゃないの。ウルマンもルーデルも目が点だ。それに何だ、いきなり式場がざわめき始めたぜ。彼方此方で私語が聞こえる。
「事前に協議? どういうことだ、それは」
「その政策が辺境星域の住民にとって受け入れられるものかどうか判断させて欲しいと言っています」
おいおい、ますますざわめきがデカくなったぜ。まあ無理はねえよな、これまでそんな事は無かったんだから。俺だって吃驚だぜ、多分親っさんは辺境星域の実力者達と相談しているんだろうが、辺境だけじゃない帝国全土でも事前に協議させろなんて要求はこれまで無かったはずだ。
「誤解しないで欲しいのですが彼らは元帥閣下の覇権を認めないと言っているのではありません。ただ辺境はこれまで常に無視されてきました。彼らは意見を述べる場を与えて欲しいと言っているのです」
親っさんの言葉に式場が静まり返った。金髪も考え込んでいる。
「……彼らが反対意見を表明した場合、私はどうすればよいのだ? 政策を修正するのか」
「無視するか、政策を修正するか、閣下御自身の判断で決められれば良いと思います。彼らもそれ以上は望んでいません」
金髪が親っさんを見ている。考えてるな、思慮深さは感じるが疑い深さは感じない。結構いい感じだぜ、根は真面目なのかな。ケチじゃ無ければそれなりなのにな。こいつ、貧しい家に生まれたって事だからそれでケチなのかもしれない。まあ個人としてはそれでもいいけどよ、組織の頂点としてはちょっとなあ。浪費しろとは言わねえが金払いは良くして欲しいぜ。
「つまり私がどう判断するかで彼らは私の統治者としての資質を判断するという事か……。なかなか厳しい条件だな」
金髪が苦笑している。親っさんも笑みを浮かべ
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