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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第九話 オーベルシュタイン
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どう思っているか、どう反応するか……。そして閣下は総参謀長を受け入れた……」
「馬鹿な……」

金髪が呻き声を上げた。おい金髪、顔が強張ってるぞ、大丈夫か。それにしても半死人みたいな総参謀長は少しも動じてないな。何考えてるんだ、こいつ。本当に生きてるのか、本当は死んでるんじゃねえかって思うぜ。薄気味悪い奴だ。

「リヒテンラーデ公は閣下を排除する意思を固めたでしょうね。そしてその最初の機会が来ます。反乱軍による帝国領侵攻です」
「……」
「閣下、辺境に焦土戦術をと言ったのは誰です?」
「……オーベルシュタインだ」
親っさんが頷いた。

「閣下が辺境に焦土戦術を行っていれば辺境からは強い不満、いえ怨嗟の声が上がったでしょう。リヒテンラーデ公はそれを理由に閣下を排除しようとしたはずです」
「馬鹿な、閣下は反乱軍を破ったのだぞ、大勝利を得たのだ、それを排除などと」

オレンジ色の髪の毛の野郎が騒いでいる。こいつなんか親っさんに敵対的だよな。あ、親っさんが笑った。馬鹿野郎、親っさんを笑わせやがって、一度死んで来い。
「反乱軍に大きな打撃を与えれば有能ではあっても危険な指揮官など必要ない、そうでは有りませんか」
「……」

「反乱軍を打ち破るのが帝国を守る事なら国内の不満を宥めるのも帝国を守る事です。粛清か失脚か、どちらでも良かったでしょう。何より平民達にローエングラム侯は勝利のために辺境の住民を見殺しにした。侯は平民達を守る存在ではないと知らしめることが出来る。政治的には抹殺したのも同然ですよ、支持基盤を失うのですから」

彼方此方で呻き声が起きた。金髪も顔面を蒼白にしている。あの馬鹿なオレンジ色の髪の毛の野郎は何も言えずに身体を震わしていた。阿呆、そこでしばらく震えていろ。親っさんを怒らせた罰だ。黒姫の頭領を舐めるんじゃねえぞ。親っさんはな、お前らドンパチしか出来ねえ阿呆どもとは違うんだ。黙って聞いてろ。

「しかし、あの時は上手く行かなかった。私達の所為で辺境住民からはそれほど不満は上がらなかった。リヒテンラーデ公にとっては予想外だったでしょう。しかし、それが公にとって幸いした。皇帝陛下崩御、帝国は後継者の座を巡って争う事になった」
「……」

「リヒテンラーデ公はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯に比べて武力を持たない。そこで閣下の武力と用兵家としての才能を必要とした。閣下を始末するのは内乱が終了した後、そう考えを変えたんです。そして閣下に共闘を持ちかけた」
「馬鹿な……」

呟く様な口調だ。いつもの金髪じゃねえな。明らかに弱っている、いや迷っているぜ。
「ヴェスターラントを見殺しにしろと言ったのは誰です」
親っさんの言葉に式場がどよめいた。

皆知
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