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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第八話 これが歴史です
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帝国暦 488年 8月 2日   ガルミッシュ要塞  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



「どういう事なんですか、親っさん」
「どういう事って、馬鹿げた話ですよ。逃がしてくれと言っています」
「逃がしてくれ?」
「ええ」
俺が頷くとアンシュッツが信じられないといったように首を横に振った。

「馬鹿げているでしょう?」
「ええ、馬鹿げていますね。一体何を考えているのか」
「今になって内乱を起こしたことを後悔していますよ」
「愚かですな」

キフォイザー星域の会戦後、俺達はキルヒアイスの了承を得てガルミッシュ要塞に居る。そんな俺に捕虜としてこの要塞に抑留されているリッテンハイム侯が会いたいと言ってきた。貴族連合の副盟主と会う、ちょっと危険かなとも思ったが、何か役に立つ情報を持っているかもしれない、そう思った。キルヒアイス、レンネンカンプ、二人の了承を得て会ったんだが……。

逃がしてくれ、それだけだもんな。金は後で払うなんて言ってるけど奴の財産なんて危なくて貰えないよ。大体だ、奴の逃亡なんて手伝ったらこっちまでお尋ね者だろう。黒姫一家は海賊かもしれないが犯罪者集団じゃないんだ。論外だな。もう少し面白い話が聞けるかと思ったんだが……。例えばリヒテンラーデ公の弱みとかゴールデンバウム王朝の隠し財宝の伝説とか……。

キフォイザー星域の会戦後、ガルミッシュ要塞は降伏した。キルヒアイスはガルミッシュ要塞にレンネンカンプを留守司令官として残し自身は辺境平定に向かっている。キフォイザー星域の会戦後は残敵掃討みたいなもんだ、掃討は順調に進んでいる。

順調過ぎて少々拙い事になっている。俺が流したキフォイザー星域の会戦の映像だがあれが思った以上に効力を発揮しているらしい。ガイエスブルク要塞を本拠とするブラウンシュバイク公の軍隊にも影響しているようだ。逃亡兵が続出していると聞いている。予想よりも早く内乱が終結する可能性が有る、というよりまず間違いなく早く終わるだろう……。

つまりだ、キルヒアイスが戻る前に内乱が終結する、リップシュタット戦勝記念式典にキルヒアイスが間に合わない可能性が有るということだ。いや式典そのものはキルヒアイスを待つとしても捕虜の引見は先に済ませるかもしれない。となるとラインハルトの傍には武器を所有している人間が誰もいないことになる。

アンスバッハのテロを防ぐことが出来ないって事だな、ラインハルト死すか……。良いかもしれない、考えてみればオーベルシュタインなんてラインハルトが居て初めて能力を発揮するタイプだろう。ラインハルトの寄生虫みたいなもんだ。宿主が死ねば寄生虫も死ぬ。辺境や俺を必要以上に敵視する奴は居なくなる……。

その後はどうなるかな。リヒテンラーデ侯の粛清ま
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