第八話 これが歴史です
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然とした。金髪の部下も何か言いながら親っさんとアンスバッハを見ている。
「私はこの通り丸腰だ。卿は何を言っているのだ」
「武器はブラウンシュバイク公の遺体の中に隠した、そうでしょう」
ブラウンシュバイク公? じゃああれはブラウンシュバイク公の遺体かよ、それに武器を隠した? 本当か?
「……何か誤解が有るようだな。ならばここからは私だけで行こう。それなら閣下は安全だろう」
アンスバッハが親っさんに提案したが親っさんは首を横に振った。
「無駄ですよ、アンスバッハ准将。あなたの指輪ですがそれがレーザー銃であることも分かっているんです。近距離でなければ命中精度が下がる。確実を期すために近づこうとしているんでしょうが、無駄です」
ざわめく式場の中、アンスバッハの表情が変わった。さっきまでの無表情じゃねえ、親っさんを睨みつけている。憤怒ってのはこういう顔だろう。
「……何故分かった」
低く押し殺した声だ。だがその言葉に皆がどよめいた。本当だったんだ、親っさんの言う通りだったんだ。
「オーディンにあるウチの事務所がとんでもない事を知らせてきました。ブラウンシュバイク公の部下とリヒテンラーデ公が密かに連絡を取り合っていると」
え、そうなの。オーディンにウチの事務所が有るのは知っている。でもそんな報せが入ったなんて全然気付かなかった。俺だけじゃないぜ、ウルマンもルーデルも妙な顔をしている。初耳なんだろう。
「公の部下が出した条件は一つ、ブラウンシュバイク公爵家の存続。リヒテンラーデ公が存続の代価として求めたものはローエングラム侯の死。そうですね」
「馬鹿な、何を言っている」
あれ、何だ、アンスバッハの野郎、妙な顔をしているぞ。
「今回の内乱でブラウンシュバイク公爵家は力を失った。小娘一人生かしておいても問題は無い。いずれ陛下が扱い辛くなれば、代わりに彼女を女帝として担いでも良い。その時はリヒテンラーデ一族の男性を女帝夫君とする。権力は永久にリヒテンラーデ一族の物……」
親っさんが話し終わると沈黙が落ちた。誰も喋らずに押し黙っている。やがてアンスバッハが笑い出した。
「そうか、そういう事か、恐ろしい男だな、黒姫。私を利用してリヒテンラーデ公を粛清するか……。まさか海賊がそんな事を考えるとは……」
え、それって、つまり、でっち上げって事か? 親っさんを見た、無表情に笑い続けるアンスバッハを見ている。
「ブラウンシュバイク公、お許しください。この無能者は誓約を果たせませんでした。金髪の孺子が地獄へ落ちるにはあと何年かかかりそうです。力量不足ながら私がお供します」
何人かが”毒を飲んだ”、“止めろ”って言って動き出そうとしたけど親っさんが“動くな”と言ってブラスターをそ
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