第七話 キフォイザー星域の会戦(後編)
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キルヒアイス提督はほんの少し時間を置く事で相手を混乱させたんです」
はあ、そう言う事かよ。なんか興奮してるのが馬鹿みたいに思えてきた。皆も同じ想いだったんだろうな、黙り込んじまったよ。
「それにしてもキルヒアイス提督もワーレン提督も見事としか言いようがない、流石ですね」
本当にそう思ってんのかな、なんか親っさんはクール過ぎて調子が狂うよ。あ、横っ腹食い破った小部隊が外に出た! おいおい、また中に入り込むぜ!
「そろそろ終わりますよ、正面のルッツ、ワーレン艦隊が全面攻勢に出る。内と外、両方から混乱するんです。リッテンハイム侯は堪えられない」
ホントだ、外の艦隊がスゲエ勢いで攻勢をかけてくる。リッテンハイム侯の軍は混乱しまくってるだけで何にもできてねえ。駄目だな、こりゃ……。人間だって下痢してる時に殴り合いなんて出来るわけがねえ。あっという間に叩きのめされちまう、こっちも同じだぜ。
「親っさん、逃げ出しましたぜ!」
ウルマンの声に親っさんは反応しなかった。黙ってスクリーンを見ている。言われなくても分かってる、そんな感じだ。恰好良いぜ、眉一つ動かさないってのは親っさんのために有るみたいだ。
「あれ? 逃げる方に輸送船が有りますぜ」
「おい、あれ」
「どうすんだよ、あれ」
おいおい、艦隊の逃げる方向に輸送船団が有る。あのままじゃ逃げるのに邪魔だ、どうすんだ、間に合わねえぞ。
親っさんを見た、何の反応もねえ。
「親っさん、あのままじゃ輸送船が……、親っさん?」
親っさんが俺達を見た。冷たい眼だった。
「出来る事は有りません、黙って見ていなさい」
「……」
逃げる艦隊が輸送船を砲撃した。味方を撃ったのかよ……、輸送船なんて武装もなけりゃ装甲も貧弱だ。あっという間に爆発していく。そしてそれを蹴散らすようにリッテンハイム侯が逃げていく。敵を蹴散らしてじゃねえ、味方を蹴散らして逃げていく……。親っさんの言う通りだ、何にも出来ねえ……。巡航艦バッカニーアの中は静まり返っちまった。皆顔を見合せている……。
「キルヒアイス提督との間に通信を繋ぎなさい」
「あ、はい」
繋いでどうすんだ? 追撃にでも参加するのか? それとも御祝いでも言うのかな……。でも、今は言いたくねえな。皆も困ったような顔をしている、何だか分かんねえけど赤毛を呼び出した。
「攻撃を停止してください。輸送船の負傷者の救出を優先すべきだと思います」
あ、そうか、そうだな、まだ生きている連中がいるよな。そいつらを助けなきゃ、多分救援を待ってる……。
『何を言う、ここは追撃して戦果を拡大すべきだ』
答えたのは髭だった。もう一人の奴も頷いている。赤毛は無言だった。
「彼らは味方に攻撃され
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