第七話 キフォイザー星域の会戦(後編)
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ったもんだぜ。
「キア、あれは斜線陣と言うのです。キルヒアイス提督の軍は先ず左翼が敵と交戦し、少し時間を置いて右翼が敵と交戦する」
なんだそれ、よく分かんねえな。時間を置くことに何の意味が有るんだ。皆の顔を見たけどやっぱり不思議そうな顔をしている。そうだよな、分かんねえよな、親っさんは分かるのかな。
「よく分かりませんがその時間を置くという事に何か意味が有るんですか? 多分皆疑問に思っていると思うんですが……」
ウルマンが首を傾げながら親っさんに話しかけた。ウルマンの言うとおりだ、皆頷いている。親っさんがチラッとウルマンを見た。
「もうすぐ戦いが始まります。良く見ておきなさい、戦いと言う物がどういうものか、分かるはずです。……映像、録っていますか?」
「はい、キルヒアイス提督の陣、リッテンハイム侯の陣、両方をそれぞれ撮っています」
俺が答えると親っさんは黙って頷いた。
帝国暦 488年 7月 20日 キフォイザー星域 巡航艦バッカニーア エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
両軍が動き始めた。原作通りだな。周囲は騒いでいるが俺にとってはなんか一度見た番組を再放送で見ている様な気分だ。変だよな、原作で読みアニメで見て現実に見るか……。とてもじゃないが興奮だの血が騒ぐなんて事にはならない。ただただ不思議な気分だ。
リッテンハイム侯の軍は酷いな。艦の配列が滅茶苦茶だ。要するに貴族単位で纏まっている、それだけなんだろう。しかもその貴族が艦の配列なんて何も考えていないに違いない。配列の滅茶苦茶な艦隊がぐちゃぐちゃに集まっている。それがリッテンハイム侯の軍隊のようだ。
ルッツの艦隊が攻撃を始めたな。まだ本格的な攻撃とは言えないがリッテンハイム侯の艦隊には損害が出始めた。逆にリッテンハイム侯の艦隊は未だ有効射程距離に入らない。焦るよな、これは。ようやく当たるかなと思ったらワーレンとキルヒアイスが攻撃をかけてくる。どっちを攻撃するか迷っている間にキルヒアイスに突っ込まれる……。
その先どうなるかは見えている。キルヒアイスに突入され恐怖にかられたリッテンハイム侯が敗走、その逃走路を後方から来た輸送部隊が塞ぐ形になった。そしてさらに恐慌にかられたリッテンハイム侯は輸送部隊を攻撃し自らの逃走路を確保した。輸送部隊は味方に攻撃されて壊滅、悲惨としか言いようがない結果だ。
本で読んでいる分には悲惨で有り同時に愚劣に過ぎると軽蔑できた。だがそれが現実になる……。結果が分かっているのに止められない。せめてビューローやベルゲングリューンぐらいの立場にあればな、可能性を指摘する事も出来るだろうし別な戦い方も出来るだろう。
だが今の俺は海賊だ、発言力なんて殆ど無い。大体戦闘に参加し
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