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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第六話 キフォイザー星域の会戦(前篇)
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あの二人、結構年長だからな。金髪の所は若いのが多い、この辺で気張らないとって必死なんだろう。

親っさんも喜んでいる。何と言っても親っさんが自ら引き入れた人間だ、あの二人が功を上げてくれれば親っさんの株も上がるってもんだ。頼むぜ、お二人さん。それにしても赤毛の野郎、最初は親っさんに対して露骨に嫌な顔をしやがったが最近じゃ少しはまともになったな。ちゃんと親っさんに礼を言うようになったぜ。金髪同様顔が良いだけのロクデナシかと思ったがそうでもない様だ。

皆が戦況に一喜一憂する中で親っさんは殆ど反応を表さない。レンネンカンプとシュタインメッツのオッサンが功を上げれば喜ぶがそれもほんの少し微笑んで終わりだ。“それは良かった”、そんなもんだな。それでも感情を出している方だ。

一体何を考えているのかは分からないが一人静かに考え込んでいる。時々副頭領と余人を交えずに話しているけど一体何を話しているのか……。副頭領に訊いても睨まれて終わりだからな、さっぱりわからん。何ていうか、何かを待っている感じだ。

「親っさん、キルヒアイス提督より連絡が入っていますが」
ヴァイトリングの言葉に親っさんが頷いた。正面スクリーンに赤毛が映った。穏やかな笑みを浮かべている。やっぱりこいつ最近変わったよな。前より感じが良い。皆そう言っている。

『黒姫の頭領、ローエングラム侯より新たな命令が届きました』
「……なんと言っておられるのです」
『敵の副盟主リッテンハイム侯がブラウンシュバイク公と確執の挙句、五万隻の艦隊を率いてこちらに向かっているそうです』
五万隻、その数字に周囲がざわめく。親っさんが“静かにしなさい”と言った。大声じゃない、でも皆が沈黙した。

『驚いていないようですね』
「あの二人は仲が悪い。勝っても負けてもいずれは分裂する。だからローエングラム侯もキルヒアイス提督もあの二人を恐れなかった。そうでは有りませんか」
親っさんの言葉に赤毛が苦笑した。

『やはり黒姫の頭領は怖い人だ、頭領が敵でなくてよかった』
今度は親っさんが苦笑した。
「それはこちらのセリフですよ。私には侯とキルヒアイス提督を敵に回す勇気など有りませんね」

赤毛の言うとおりだ。親っさんは時々ヒヤリとする様な怖さを見せるときが有る。ま、そこが良いんだけどな、頭領はそのくらいじゃねえと務まらねえ。……赤毛、お前は苦笑できるだけスゲエよ。俺なんかそんな余裕何処にも無いからな。お前もこの世界に来れば頭領が務まるかもしれねえよ。金髪は如何かな、あいつはちょっと難しいかもしれねえな、感情が出すぎる、まあ鍛え方次第か。親っさんを見習えば化けるかもな。

『表向きは辺境回復を唱えているそうですが事実上の分派行動ですね。ローエングラム侯からは
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