第六話 キフォイザー星域の会戦(前篇)
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て周囲から評価されたわけでも功を認められたわけでもなかった。その辛さ、苦しさ、腹立たしさは良く分かっている。それなのに……、立場が上になって感情の制御が甘くなったのかもしれない。或いは何処かで彼を海賊と蔑んでいたか……。黒姫も内心では腹立たしかっただろう。だが海賊と蔑まれても三万五千の部下を守るために堪えている……。
「手強い相手だ」
「油断も隙も無い相手だが少なくとも敵では無い、それを喜ぶべきなのだろうな」
「そうですね、敵よりはましです。そう思いましょう」
顔を見合わせ三人で苦笑した。確かに、敵よりはましだ……。
帝国暦 488年 7月 3日 巡航艦バッカニーア カルステン・キア
いやあ、すげえ騒ぎだぜ。帝国も反乱軍も国内で内乱騒ぎだ。相手の事なんざ放り出してどんちゃん騒ぎをしている。まあ家の中で喧嘩しているのに外に出て行ってまで喧嘩する馬鹿は居ないわな。帝国が二分して反乱軍が二分してフェザーンを入れれば宇宙は五分割されていることになる。こんな訳の分からん事態は前代未聞だ。
反乱軍じゃあ五月にヤン・ウェンリーがドーリアって場所でクーデターに参加した一個艦隊を叩き潰したらしい。ほとんど全滅寸前まで叩いたらしいな、怖い相手だぜ。アムリッツアじゃ補給がこなくて十分には戦えなかったが、補給が十分にされていたらどうなったか……。寒気がする。
先月にはハイネセンで軍と住民の間で衝突が起きたようだ。住民が約二万人殺されたって言っているし兵も千人以上が死んでいる。ヤンがドーリアで勝ったせいでクーデターを起こした連中は追い込まれているみたいだ。それが原因で衝突が起きたんだろう、滅茶苦茶だな。
帝国じゃあ金髪の軍隊が順調に勝っている。内乱が勃発したのは四月だがその月の内にアルテナ星域で勝ってレンテンベルク要塞で勝った。この二つはデカかったな、相手は賊軍って言うんだが(反乱軍だと自由惑星同盟と一緒で区別がつかないって事で名付けたらしい)、この賊軍の中でも頭株のシュターデンって野郎と蛮人オフレッサーが負けたからな。賊軍にとっては痛かっただろう。それ以後も金髪の軍隊は順調に勝っているようだ。
一方辺境じゃあ赤毛のキルヒアイス大将の艦隊が辺境星域にある賊軍の勢力地を平定している。こっちも順調って言って良いんだろうな。金髪みたいに大きい戦いは無いけどそれでも三十回ぐらいの戦いに完勝している。赤毛って結構強いんだな。親っさんにそれを言ったら笑われたぜ、カストロプはまぐれじゃないよって。
そうだよな、赤毛はカストロプの反乱をあっという間に鎮圧しているんだよな。親っさんに言われて思い出したよ、我ながら間抜けな話だ。赤毛の軍隊じゃレンネンカンプとシュタインメッツのオッサンが頑張っているらしい。
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