第六話 キフォイザー星域の会戦(前篇)
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姫が頭を上げた、早すぎる……。
「キルヒアイス提督はローエングラム侯の幼馴染で腹心だと聞いています。キルヒアイス提督に喜んで頂けたのですからローエングラム侯にもきっと喜んで頂けると確信しました。これ以上の保証は無いと思います、そうではありませんか?」
黒姫の言葉に皆が渋々頷いた。ベルゲングリューン准将とビューロー准将が気遣う様な目で私を見ている。嫌な奴だ、上手く嵌められた。これで私はラインハルト様にこの男の功績を認めさせなければならなくなった……。出来なければ嘘吐きと呼ばれ、腹心などと言われても影響力など欠片も無いと蔑まれるだろう……。
必死に笑みを浮かべるが頬が引き攣っている様な気がする。この中で心から笑みを浮かべているのは黒姫とその部下だけだろう、またしてやられた……。これで何度めだろう。その後は実務の話になったが三十分ほどで終了した。黒姫とレンネンカンプ、シュタインメッツが立去った。二人の提督は艦隊を率いて合流する事になっている。疲れた……、溜息が出た。
「大丈夫ですか、総司令官閣下」
私の溜息を見てルッツ提督が気遣ってくれた。
「大丈夫です、ちょっと疲れました。彼の相手は疲れる……」
「いえ、そうではなくローエングラム侯への報告の件ですが……」
言い辛そうな表情と口調だった。また溜息が出た。
「あの二人が味方になってくれた事は大きいと思います。今回の内乱だけでなく内乱後の事を考えても……。黒姫が功を立てたのは間違い有りません、その事は評価しなくては……。ローエングラム侯にも御理解いただけると思います」
ラインハルト様は黒姫の功に不満を示すかもしれないな、いや間違いなく不満を示すだろう……。
しかし理解はしてくれるはずだ。そして理解してくれれば評価もしてくれる。レンネンカンプ、シュタインメッツ、あの二人は今後ラインハルト様のために大いに働いてくれるだろう。黒姫ではなくあの二人を評価する、そう考えて欲しいと説得しよう……。
「それにしても駆け引きが上手い、驚くほど強かだ。ああでなければ海賊の頭領など務まらんのだろうな」
「そうだろうな、あの若さで今では三万五千の部下を持つそうだ」
ルッツ、ワーレンの二人が話している。
「私の誤りです。つい彼を不快に思う気持ちが顔に出ていたのでしょう。それを上手く突かれました。そうでなければあんな言質は取られ無かったのですが……」
「……」
「黒姫も不愉快だったでしょうね。彼の部下は私を蔑んでいましたよ。功を立てたのに評価しないと。でも黒姫は一切そんな感情は見せなかった。冷徹に自分の功を私に認めさせました。仕事と割り切っていたのでしょう」
私の言葉に今度は彼ら二人が溜息を吐いた。
考えてみれば私もラインハルト様も決し
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