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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第五話 可能性を探る
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く、彼らが声に出す前に知りたい……」
アンシュッツが俺をじっと見た。痛いほど強い視線だ。気圧される様な思いがした。

「場合によっちゃあ反乱、独立ですか」
「まさか……」
いかん、思ったより語尾が弱かった。アンシュッツの視線が痛い……。
「一度も考えなかったと?」
「……そんな事をしても辺境が荒れるだけです。意味がない」

政府にとっても辺境にとっても全く意味がない。しかしこの手の問題は理性よりも感情に流れがちだ。“何故俺に従わない”という思いと“お前の言う事など聞けるか”という思い……。俺達はその両者の感情の間で翻弄されかねない。頭の痛い問題だ。

「反乱軍、いや自由惑星同盟は利用できませんか」
囁く様な声だった。気持は分かる、半年前なら可能だったろう。しかし連中を何処まで信用できたか……。支持率アップのために出兵する様な連中だ、到底当てには出来ない。首を横に振った。

「無理ですよ、難破船に救助を頼むようなものです。一緒に沈没するのが落ちですね。それに辺境の住人は同盟を信じていません。この前の戦い、最後は一度配布された食料を奪われました……」
「有りましたね、あれには呆れました。隠してある食料が無事だったから良かったですが、あれまで奪われていたら暴動が起きていましたよ」
「そうですね……」

四面楚歌か……、辺境には味方がいない。俺の持つ兵力など正規艦隊に比べれば笑うしかないような戦力だ。とてもではないが独立も反乱も無理だろう。しかし辺境が不満を持っている、その事自体を危険視、或いは利用しようとする人間が出るはずだ。

先ずはオーベルシュタインだろうな、帝国の辺境が中央に対して不満を持つ、あの男の性格ではそれ自体が許せない事だろう。元帥府で会った時もかなりこちらを、いや辺境と俺の結び付きを警戒していた。やりそうなことは何らかの手段を用いて俺を除く、そしてその事に激高した辺境を叩く。或いは辺境を混乱させ分裂させることで俺を挑発する。そして激発すれば潰す……。ロイエンタールと同じ運命か……。

そしてヤン・ウェンリー……。この世界でもヤンはイゼルローン要塞に居る。帝国軍による同盟領大侵攻が有るのだとすればヤンが考えるのはフェザーンでの反帝国運動、そして辺境の不満を知れば辺境での反乱誘発を考えるだろう。辺境が混乱しフェザーンが混乱すれば同盟領に侵攻した帝国軍は危険な状況に陥る。帝国軍は侵攻を取りやめ引き返さざるを得ない。帰還したラインハルトが最初にやるのは辺境の討伐だろう……。

オーベルシュタインが辺境を危険視するのはそれが有るのかもしれない。同盟を征服しようとすれば国内の不安定要因は予め除いておく必要が有る。そしてオーベルシュタインにとっては辺境と俺は不安定要因という事だ。ヤン
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