第三話 アムリッツア星域の会戦
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ましたが私達は海賊なのです』
「!」
『軍規など関係ありません。まして我々は協力者であって部下ではない。命令される筋合いも有りません』
「……」
ベルゲングリューン大佐が、ビューロー大佐が苦虫を潰したような表情をしている。多分私も同様だろう。
『それとも私達から拿捕船を強奪しますか? 軍が海賊の功績を奪い取る……。世も末ですね、軍が海賊行為とは』
「……」
ヴァレンシュタインが可笑しそうに笑っている。嫌な奴だ、オーベルシュタイン参謀長よりも嫌な奴だ。その笑い声を聞きたくなかった。
「分かりました。輸送船団はそちらのものです。協力を感謝します」
『御理解頂き有難うございます。御武運を祈りますよ、キルヒアイス提督』
にこやかにヴァレンシュタインが私の武運を祈った。寒気がする……、お前のような悪党になど祈られたくない、早くお前から離れよう……。
帝国暦 487年 10月14日 ローエングラム艦隊旗艦 ブリュンヒルト ラインハルト・フォン・ローエングラム
各艦隊が反乱軍の残敵を掃討し帰ってきた。ブリュンヒルトの艦橋には艦隊司令官達が集まりつつある。キルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ケンプ、メックリンガー、一人一人手を握りその昇進を約束した。もう少しで皆が揃うだろう。
反乱軍は壊滅的と言って良い程の大敗を喫して敗退した。補給を断たれた後、我が軍の各個撃破により敗退した反乱軍はようやく兵力分散の愚に気付いたのだろう。アムリッツア星域に集結、再反攻の機を窺った。
帝国軍はキルヒアイスを別働隊として反乱軍の後背に回し俺が正面から攻め立てた。他愛もなかった、反乱軍は十分に補給を受けられなかったのだろう。まともに戦ったのは最初だけで後は崩れるように敗退した。キルヒアイスが戦場に到着する前に勝敗は決したのだ。
ヤン・ウェンリーが多少奮戦したがそれだけだ。こちらは殆ど損害もなく反乱軍を撃破した。あれなら最初からイゼルローン要塞に撤退していれば良いものを、反乱軍の総司令官は一体何を考えていたのか……。全く度し難い程に愚かな連中だ。
大勝利だな、当分反乱軍は軍事行動を起こせないだろう。これ程の勝利を得たのだ、宇宙艦隊司令長官は間違いないだろう。残念だな、キルヒアイスがアムリッツアに間に合えば副司令長官に出来るのだが……。あそこまで反乱軍が弱いのなら全軍で正面から攻めるべきだった、失敗だった……。
唯一気に入らないのはあの海賊の事だけだ。小賢しくも輸送船団を強奪するとは……。まあ良い、約束は約束だ。輸送船団は海賊にくれてやる。報酬としてはそれで十分だろう。最後の一人、ビッテンフェルトの手を握る。戦い振りを褒め昇進を約束すると嬉しそうな表情をし
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