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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第三話 アムリッツア星域の会戦
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裏切っていたなら反乱軍と出会っていてもおかしくないのだ。後は輸送船団を発見し撃破すれば勝利は確定したも同然……。落ち着こう、焦る必要は無い。焦らずに待てば良い……。

「司令官閣下、索敵部隊から連絡が入りました。輸送船団を発見とのことです」
オペレータの声に艦橋の彼方此方から歓声が上がった。ベルゲングリューン大佐も嬉しそうにしている。嘘ではなかった、あの海賊は約束を守ったのだ。そう思うと急に可笑しくなった。一体自分は何をそんなに心配していたのか。

「直ちに攻撃……」
「お待ちください、索敵部隊から攻撃の必要なしと……」
攻撃命令を出そうとした私にオペレータが戸惑った様な声を出した。攻撃の必要なし? どういう事だ? ベルゲングリューン、ビューローの二人も困惑している。“何が有った”、“どういうことだ”と話し合っている。

「別な通信が入っています」
「別な通信?」
私が聞き返すとオペレータが頷いた。
「スクリーンに映します、宜しいですか」
「頼む」

スクリーンに男性が映った。ヴァレンシュタイン? 何故彼が? 困惑していると彼が話しかけてきた。
『久しぶりですね、キルヒアイス提督』
「そうですね、久しぶりです」
『輸送船団ですが、攻撃の必要は有りません。我々が拿捕しました』

拿捕……。なるほど彼らの方が輸送船団には近い、情報さえ聞き出せば輸送船団に近づくのは難しくないだろう。まして反乱軍は彼らを味方だと思っているのだから。ベルゲングリューン大佐が私をチラッと見た。

「御苦労だった。では我々に輸送船団を引き渡してもらおう」
大佐の言葉にヴァレンシュタインは笑みを浮かべた。
『残念ですがそれは出来ません』
「何、それはどういうことだ。約束を破ると言うのか、海賊」

ベルゲングリューン大佐が厳しい声を出した。しかしヴァレンシュタインはクスクス笑い出した。
『約束は守りましたよ、ベルゲングリューン大佐。ちゃんと輸送船団の情報をそちらに教えたはずです。だから貴方達がここに居る、違いますか?』

思わずベルゲングリューン、ビューローの二人と顔を見合わせた。二人とも唖然としている。確かに約束は情報の通報だった、輸送船団の引き渡しではない……。

『輸送船団の情報はきちんと連絡しました。その後は早い者勝ちです。そして残念ですがそちらが来るのが少し遅かった。我々の方が先に着いて輸送船団を拿捕した。そう言う事です』
「し、しかし拿捕した物資の隠匿は許されんぞ」

ビューロー大佐が声を絞り出すように言うと今度は声を出してヴァレンシュタインが笑った。笑うな! お前が笑うと嫌な予感がする。
『軍の規則ではそうでしょうね。しかし先程ベルゲングリューン大佐も言い
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