第三話 アムリッツア星域の会戦
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った。報酬を事前に決めない、自分達の上げた功によって決めろとは……。ラインハルト様が笑い出した。
“報酬が無いと言う可能性も有るな”
“功が無ければそうなります。報酬が欲しければ誰もが認める功を上げれば良い、そうでは有りませんか”
ラインハルト様の笑いが更に大きくなった。そしてヴァレンシュタインの提案は受け入れられた……。
焦土作戦を実施すれば辺境住民に大きな苦しみを与えるだろう。それを思えばヴァレンシュタインの提案は極めて望ましい。しかし彼を信じて良いのだろうか……、どうにも不安が募る。今のところ順調ではあるが輸送船団の情報が誤っていたら……、いや罠だったら……。
輸送船団を叩くのは私の役目だ。私の艦隊は待ち受けていた反乱軍に叩かれ、反攻を開始した味方は補給を済ませた反乱軍によって叩き潰されるだろう。何処まであの海賊を信じて良いのか……。
「元帥閣下」
抑揚のない声が聞こえた。参謀長、オーベルシュタイン大佐がラインハルト様に近づいて来た。どうにも好きになれない……。容姿の問題ではない、彼の思考が好きになれないのだ。今回の焦土作戦も彼が考えたものだ。もしごく普通に引き摺り込んで叩く作戦だったらヴァレンシュタインが絡んだだろうか……。
「ヴァレンシュタインより通信が入りました。反乱軍はイゼルローン要塞より大規模な輸送船団を前線に送るようです。どうやら反攻する時が来たようですな」
そう言うとオーベルシュタイン大佐は手に持っていた紙を差し出した。ラインハルト様が受け取りそれを読む。白い頬が紅潮した。
「海賊め、約束を守ったようだな。……キルヒアイス、お前に与えた兵力の全てを上げてこれを叩け。細部の運用はお前の裁量に任せる」
「かしこまりました」
ラインハルト様が私にメモを渡した。確かに、輸送船団の情報が書いてある。
「キルヒアイス、情報、組織、物資、いずれも好きなだけ使って良いぞ」
「はっ」
一礼してラインハルト様から離れる。出撃だ、私を待っているのは輸送船団か、それとも敵か……。油断は出来ない……。
帝国暦 487年 10月 8日 キルヒアイス艦隊旗艦 バルバロッサ ジークフリート・キルヒアイス
まだ見つからないのか、そう思った時だった。
「閣下、もうすぐ索敵部隊が輸送船団を発見するはずです」
「……そうですね」
ベルゲングリューン大佐の声に同意した。
もしかすると大佐も焦っているのかもしれない。それで落ち着こうと声に出したのかも……。確かにもうすぐだ、あの情報が嘘でなければもうすぐ索敵部隊が輸送船団を発見するだろう。
艦隊はここまで特に反乱軍に出会う事もなく進出した。今の所、あの海賊が裏切った形跡はない。
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