第二話 焦土戦術
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「何だ、キア」
「ワーグナーの頭領がカストロプへ来ないかって言ってましたけど、あれってワーグナー一家の傘下に入れって事ですか」
俺の質問にアンシュッツ副頭目はじろっと視線を向けてきた。うっ、怖いですよ、副頭目。でも気になるんだ、皆も頷いている。
「ワーグナー一家はウチと組んで大儲けしただろう。あそこはオーディンに近いしブラウンシュバイク公も傍に居る。ワーグナー一家は何かと目を付けられ易いんだ」
えーと、それって何を意味するんだろう。よく分かんないな、皆も困惑してる。
副頭目が舌打ちした。うっ、だから怖いですって。
「辺境の組織と組んで荒稼ぎとはどういうこった、何故俺に声をかけなかった、そういう声が上がってるんだよ。言いがかりに近いんだがウチがカストロプに移ればそう言う声も小さくなる。ワーグナーの頭領はウチとこれからも協力していきたいと言ってるんだ。まあ配下にしたい、そういう思いもあるかもしれないがな」
ますます分からない、ワーグナーの頭領に文句言える奴なんて居るの? 俺の疑問をウルマンが声に出した。
「ワーグナーの頭領に文句言う奴なんているんですか? いや、居るんだから奴なんて言っちゃいけないのかな、言えるお方? そんな人海賊に居るんですか?」
「海賊じゃねえ。ブラウンシュバイク公爵家に出入りの商人、貴族、軍人だ。利権目当てで集まっている連中が居るんだ。そういう奴らにとっちゃ今回の一件は面白くねぇんだよ」
副頭領の方が面白くなさそうだな。舌打ちはするし口がへの字に曲がっている。まあ確かに貴族って厄介なんだよ、力が有れば有るほど変な奴が寄ってくる。
「それでワーグナーの頭領はどうしたんです? 連中、簡単には引き下がりませんよね」
ウルマンの言うとおりだ、そういう奴らは簡単には引き下がらない。何らかの見返りを要求するはずだ。
「……ウチの親っさんが抑えた」
ボソッとした副頭領の言葉に彼方此方で声が上がった。皆信じられないと言った表情で副頭目を見ている。俺だって信じられない。
「親っさんの知り合いがブラウンシュバイク公の側近でな、親っさんがその人に頼んで連中を抑えさせたんだ」
「凄え!」
俺が声を上げると彼方此方で“凄え!”と声が上がった。
「静かにしろ! 騒ぐんじゃねえ!」
副頭領が怖い目で俺達を睨んでいる。“騒ぐんじゃねえ! ガキ共が” 副頭領が今度は低い声で俺達を叱責した。何で? 親っさんがブラウンシュバイク公の側近と知り合いだなんて凄い事だと思うんだけど。
「その人はな、士官学校で親っさんの同期生だったそうだ。だが今は相手はブラウンシュバイク公の側近、親っさんは辺境星域の海賊……。親っさんにしてみれば頼み辛かっただろう。でもな、ワーグナーの頭領
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