第二話 焦土戦術
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だ、あんたなら歓迎するぜ。あんたにとっても悪い話じゃないだろう』
「……」
え、それってどういうこと……。親っさんに配下になれって事?
『カストロプは例の反乱で無法地帯になっちまった。あの辺りを仕切っていた連中は反乱に巻き込まれて没落しちまったからな。あんたが仕切ってくれれば助かる、オーディンの周辺が騒がしいのは何かと拙いんだ。政府もうるせぇからな』
なるほど、そういう事か。ちょっと安心したけど、本当にそれだけ?
「有難うございます。ですがワーグナーの頭領、ウチは辺境の人達には随分と世話になってるんです。今になって見捨てるなんて事は出来ません。なんとかやっていきますよ」
親っさんの言葉にワーグナーの頭領が大きく二度、三度と頷いた。
『そうかい……、まあ仕方ねぇな、確かに世の中にゃ義理ってもんが有るからな。……何か俺で出来る事が有ったら言ってくれ。あんたには借りがある、何時でも力になるぜ』
「有難うございます、その時は宜しくお願いします」
親っさんが丁寧に頭を下げると、ワーグナーの頭領が“オイオイ、それは勘弁してくれよ”と言って笑い声を上げた。
通信が切れるとアンシュッツ副頭領が親っさんに声をかけた。
「どうします、これから先面倒な事になるかもしれません。幸いカストロプの件では儲けましたし武装艦を増やした方が良い様な気もしますが」
そうだよね、俺もそう思う。っていうか皆そう思ってる。でも親っさんはそう考えてはいない様だ。ちょっと小首を傾げている。不同意な時の親っさんの癖だ。
「百隻や二百隻増やしてもどうにもなりませんよ。それよりもカストロプの件では皆良くやってくれました。給料一ヶ月分の臨時報酬を出してください。本当はもっと報いたいが先が見えない、資金はある程度残しておかないと……」
「分かりました。手続きを取ります」
やったね! 給料一ヶ月分の臨時報酬だ。周囲も皆顔を綻ばせている。彼方此方で歓声が上がった。親っさんってこういうところは気が利いてるんだよな。これでリューデリッツ伯爵領のアンネに誕生日プレゼントを贈れる、確か六月の末だったよな、十分間に合う。親っさん、感謝です。臨時報酬は一ヶ月で十分ですよ。
「それとクラインゲルト子爵、バルトバッフェル男爵、ミュンツァー男爵、リューデリッツ伯爵に今後の事について相談したいと伝えてください。場所は、そうですね、バルトバッフェル男爵領でお願いしたいと」
残念、リューデリッツ伯爵領なら直接渡せたかもしれないのに……。しょうが無いよな、通販で頼むか、後で何が良いか見てみないと……。
親っさんは指示を出し終わると少し考える事があると言って部屋に戻った。親っさんが居ない、チャンスだぜ、さっきの事聞かなくちゃ。
「副頭領」
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