第一話 黒姫
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った)はごく小さい組織だったがそれでも七千人程の部下が居た。その七千人を食わせるので先代は結構苦労していたらしい。大手ならともかく弱小の警備会社だ、周囲からは信用が今一つ無かった。根拠地さえ無かったんだから酷い。家庭を持つこともままならないし船の修理だって覚束なかった。
当然だが部下達の間からは不満が出る。組織のbQが警備会社を辞めて暴力団になろうと言いだしたのも無理は無い。リスクは有るが今より利益は出るし何処かの組織の下に付けば根拠地も貰えるかもしれない、そんな話だった。俺は成り行き上先代を助けて何とか利益を上げようとした。その対策が辺境星域だった。辺境にはまともに輸送船を持てない貴族が居る。そこに目を付けた。
彼らのために輸送船を動かし警備も行う。一つの貴族だけでは貴族にとっても組織にとっても非効率、不経済だ。幾つかの貴族を共同させ契約を結ぶ……。クラインゲルト子爵家、バルトバッフェル男爵家、ミュンツァー男爵家、リューデリッツ伯爵家が話に乗った……。
試行錯誤は有ったが上手く行った。クラインゲルト子爵達の信用も得た。それを見て他の辺境の貴族達もバウアー一家に仕事を依頼してきた。少しずつではあったが組織は安定し始めた。だがbQにはそれが面白くなかったらしい、密かにクーデター計画を練り始めたんだ。結局奴は暴力団がやりたかっただけなのだろう。太く短くって奴だな、実際短くなったけど。
俺と先代はカウンタークーデターを狙い奴を暴発させた。クーデターは失敗し奴は自殺した。皮肉な事は先代がその一か月後にインフルエンザと肺炎の併発で死んだことだ。一ヶ月待てば奴が後を継いだかもしれなかった……。先代は死ぬ間際、“跡目はヴァレンシュタインに”と俺を後継者に指名した。
冗談だと思ったし誰も納得しないと思ったが何の反対もなく承認された。慌てて断ろうと思った時には先代は死んでいた……。海賊稼業に身を染めて一年と経たずに俺は頭領(かしら)になっていた。嘘みたいな本当の話だ、この業界じゃ伝説になっているらしい。
一家を継いでからは皆を食わせるために無茶苦茶やったな。輸送、警備はもちろん領地の開発にも協力した。俺は弁護士資格を持っていたからそっちでも相談に乗ったりした。そのおかげで今では四家の領地にそれぞれ一家の根拠地が有る。部下の中には領民と結婚して船から降りた人間もいるし逆に宇宙に憧れて船に乗り込む奴も居る。交流は極めて活発だ。
しかし黒姫一家(この名前、なんとかならないかと思うのだが業界じゃヴァレンシュタイン一家と言っても通用しないんだ……)が大きくなったのは貴族の生死、没落に付け込んだぼったくり商法のおかげだ。原作でも出ていたバランタイン・カウフのやり方を俺も踏襲した。
反逆を起こす貴族の領地の特産物を事前に買い占
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