悲しい現実
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ーを握り、今だ危険な《実つき》のネペントと戦っているコペルの援護の体勢に入る。
「悪い、待たせた!」
そう叫びながらキリトも剣を握り直し、コペルの加勢に入ろうとしたんだが―――
だが、俺達の足は勝手に止まった。
目の前ではコペルがネペントの攻撃をあしらいながら、その真面目そうな印象を放つやや細めの両眼が俺達をじっと見ている。
――なんだ、その眼はなんだ。
その眼はまるで俺達を哀れむようなそんな眼だった。コペルはネペントのツルの攻撃をバックラーで大きく弾き返いて、戦闘を|寸断(ブレイク)して、立ち尽くす俺達を見て、短く、そしてどこか申し訳なさそうに言った。
「―――ごめん、キリト、ジン。」
そして視線をモンスターに戻すと、右手の剣を大きく頭上に振りかぶる。
刀身は薄青く輝いていく。あのモーションは――単発垂直斬りソードスキル|《バーチカル》だ。
「いや……だめだろ、それ……」
「おいおい、冗談だろ……」
俺達は無意識にそんな言葉を発するが、コペルは止まらず地面を蹴る。振り下ろされた刃は《実》もろともネペントを両断した。
パアァァン!
凄まじい破裂音が森の中に響き渡り、それと共に実の中から薄い緑色の煙と異様な匂いが解き放たれた。
その行動に一寸の迷いは無く、意図的に引き起こしたものだとすぐに理解出来た。
そして、すぐに悟った―――俺達はコペルに裏切られたのだと……
SIDE OUT
* * *
「な……………なんで……」
「コペル…テメェ……!」
目の前で起こっていることに俺達は、呆然としながらそんな言葉しか絞りさせなかった。
それが聞こえたのかコペルはこちらを見ずにもう一度言った。
「……ごめん」
その瞬間、この場を包囲するように現れる幾つものカラー・カーソル。実の破裂音と今も周りに漂っている薄緑色の煙に引き寄せられたこのエリア中にいるネペントの大群だ。その数はざっと三十体はいる。
この場から離脱しようにこの包囲網を突破しても、ネペントの最大移動速度はその外見からは想像出来ないほどで、こっちが引き離す前にすぐにターゲットされる。もはや離脱することは出来ない。
(コペルの奴……俺達も巻き込んで自殺する気か!?)
立ち尽くしたまま俺は、そんな憶測を立てていたがそれは誤りだった。
コペルはもう俺達には目も呉れずに剣を左腰の鞘に納めて、振り向くと近くの藪に走っていった。その行動には一点の迷いはなく、こんな状態を引き起こしたのに彼はまだ生きようと抗いているようにもみてとれた。
「無駄だよ
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