暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜豪運を持つ男〜
悲しい現実
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「あ、ああ…ちょっと色々と考えていたんだ」
と声を漏らした。

 流石にダンジョン内なので、気を引き締めないと最悪死ぬ。
 そう思いキリトにちょっときつめに、
「考え事って、さっきのはさすがに危なかったぞ」
と注意する。


 あっちもそのことは十分理解しているから素直に「悪い。」とだけ返した。
 かくいう俺もそんな人のことをいえる立場じゃないので、
「いいさ。俺も人のこと言えないからな」
と返す。


 その時、俺とキリトの背後で再びポリゴンの破砕音が響く。振り返るとコペルがネペントを屠ると、ふぅっと息を吐きながらこちらに振り向く。そして、
「出ないね・・・・・・・。」と呟く。

 コペルの声にはやはり疲労の滲んでいる。三人で乱獲を始めてもうすでに一時間はたっていると思う。
 倒したネペントの数は、三人合計したら優に百五十は超えるだろうが一向に《花つき》は姿を現さない。加えて、俺も含むがかなり精神的にかなり疲労が来ている。武器の耐久力も関係あるし、そろそろ引き際だろうか。

「だな…このままだとこっちがジリ貧になる可能生が十分にある。」
とキリトも同意する。

 幸いにも他に人が来る気配もないし、時間ももう夜だから多分他の人が来るのは早くて明日だろう。
 それまでに装備などを整えて、朝早くにきたら狩場は大丈夫だろう。

 キリトは少し考えた後、
「もしかしたら、βの時の出現率が多少変更されているのかもしれないな。」
と呟いた。
 成る程、それはおおいにありえる話だ。この手のネトゲは、レアのドロップレートとかは正式サービスで下方修正されることが多い。他のMMOでも聞いたことはいくつかある。

それに納得していると、キリトが多少笑いながら
「……それか、ジンの尽きた運がここで影響しているかもな」
といってこっちを見た。

 こちらも笑い、それをいうなと軽口を叩きながらも、俺は提案した。
「しかし、どうする?皆のレベルも上がったし、武器もかなり消耗していると思う。ここいらで引き上げるのも―――」

 と、俺が言い掛けた瞬間、俺達から数十メートル程離れた木の下に一つ集束し始める赤い光。
 四角形のポリゴンブロックが幾つも生まれ、それ等が組み合わせって大まかな形を作り上げる。それは見慣れた光景の一つ――モンスターの|湧出(ポップ)だ。

「「「…………」」」


 俺たちはその場に立ち尽くし、ただ黙ってその光景を眺め続けた。
 『どうせまたノーマルネペントだろう』と頭の中で思っていると、ネペントは数秒でその姿を形成して、ツルをうねうねさせながら歩き始める。生物めいた光沢のある茎、マダラ模様のある捕食器、その上に――見覚えのあるチューリップに似た巨大な赤い《花》。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ