第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第13話 学院長登場
[11/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た俺の瞳と、俺の背中を見つめていた彼女の視線とが交わる。
一応、他者の耳を気にして主語を省略しては居ますが、これでも意味は通じていると思います。このタイミングで、この台詞が俺の口から出て来ると言う事ですから。
それに、オスマン学院長が知らない方がどうかしていますか。少なくとも、ある程度の情報を申告しなければ、留学生など受け入れられる訳はないですから。
但し、それも自己申告で有る以上、虚偽の申告をされていた場合は、オスマン及び、トリステインの方にそれなりの諜報能力が無ければ、裏を取る事は不可能なのですが。
俺の問いに、タバサがコクリと首肯いた。
これはもしかすると、タバサが知らない真相を、あのオジイチャンが有る程度までは知っている可能性も有ると言う事ですか。
但し、ある程度は自らの手で調べ上げなければ、あのオジイチャンが教えてくれる事は無いとは思いますが……。
しかし、何故かタバサは未だその場から動こうとはしない。
俺より階段二段分高い位置に居るから、普段のそれよりもかなり高い位置から彼女の視線を感じる。
う〜む。何の用事か判らないけど、矢張り、さっき学院長との会話の内容に関係が有る事なのでしょうね。
「ありがとう」
突然、彼女の口から発せられた感謝の言葉。そして、不意打ちで有ったが故に、心の何処か奥深くをかき乱す台詞。
……冷静な仮面を被った、何処か奥の方を。
「その台詞は少し早いで」
瞬間、彼女から視線を外し、在らぬ虚空を視界に収めながら、そう答える俺。
タバサの台詞の意味は色々と有るとは思いますけど、その感謝の言葉を俺が受けるには、未だ少し早いと思います。
俺は未だ、彼女に感謝されるほどの事を為した心算は有りませんから。
「本当に欲しい感謝の言葉はまだまだ先。これからの俺の働き次第やと思うからな」
もっとも、俺自身が、あまり感謝の言葉を聞き慣れていないから、かなり恥ずかしかっただけなのですが。
特に、予想外の時に投げかけられた感謝の言葉が。
そして、かなりの美少女に、真っ直ぐに見つめられている現在の状況が。
「まぁ、その時までに俺は愛想を尽かされないように気張るから、タバサは、適当だと思う時にその言葉を俺に告げてくれたら良い。
その時は、俺もその言葉を素直に受け入れるから」
そう、答える俺を、未だ真っ直ぐに見つめるタバサ。
そして、小さく、しかし確実に首肯く。その仕草は、ずっと変わらず、彼女のまま。
しかし、彼女の中で何かが変わりつつ有るかも知れない雰囲気を発しながら。
……ただ、これは少し、格好を付け過ぎましたか。
もっとも、漢と言うヤツは基本的に格好付けですからね。
えっと。そうしたら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ