無印編
第十三話 裏 (士郎、なのは、すずか)
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れが、彼女が実は吸血鬼の血を引いているということである。正確には吸血鬼のような、というほうが正しいだろうか。書物に出てくるように日光を浴びれば灰になるというものでもないし、流れる水に触れられないということもないし、十字架や聖水、にんにくがダメということもない。ただ、唯一の共通点があるとすれば、血が必要ということである。
すずかも、三日に一度は輸血用の血液パックから血液を摂取している。
これはすずかにとってコンプレックスだった。人ではない。人とは違う。
だから、すずかは、一人を好んだし、一人でいるつもりだった。
今、アリサや翔太と一緒にいるのは、偶然の産物―――いや、そんな言葉で誤魔化すのはやめよう。やはり、なんだかんだと理由をつけながらもすずかは寂しかったのだ。誰かといるのは怖い。だが、一人は寂しい。だから、結局、すずかが取れた選択肢は、付き合いながらも深入りしないという中途半端なものだった。
だからだろう、すずかがどこか翔太とアリサの間に浅い溝のようなものを感じていたのは。それは、すずかが引いている所為かもしれない。だが、確実にすずかとアリサ、すずかと翔太よりもアリサと翔太の距離が近いように感じる。それは、そんな気がする程度の違和感だった。
だが、それを感じていたが故に3年生になって翔太が余所余所しくなり、アリサが不機嫌になり、すずかは傍観している中で、翔太が誘ってきたサッカーの試合の後、アリサと翔太だけが事前に話していたかのように翠屋に行くと聞いたとき、動揺した。
―――私は誘われていないのにアリサちゃんとショウくんだけ?
それは、確実に二人から置いていかれたような気がした。だから、その後、翔太が笑って、すずかも誘ってくれたときは、本当に嬉しかった。まだ、自分は二人から置いていかれないのだ、と。
その後、翔太の知り合いである士郎さんという人からケーキを奢ってもらい、翔太と別れた後は、姉と一緒にショッピングに来ていた。
姉は、最近好きな人ができたのか、気合を入れて洋服を選んでいた。すずかは今日は、その付き添いだ。
そういいながらも、すずかも女の子であり、洋服を見たり、選んだりするのは好きだ。姉の忍が選んでいる間、すずかも忍のように自分用の洋服を見ていた。
不意に目に止まったのは、黒い可愛いフリルのついたワンピース型の洋服。
それはいつもなら目に留まらないタイプの洋服だった。
月村すずかは吸血鬼である。そうであるが故に、彼女は白い服装を好む。身体が穢れているならば、せめて洋服だけでも穢れない白にしようと。
だから、吸血鬼のシンボルカラーでもあるような黒は絶対に目に留まることはなかった。
だが、今日、初めて目に留まったのは、やはり午前中のサッカーの試合の前に
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