無印編
第十三話 裏 (士郎、なのは、すずか)
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うだろう。だが、高町なのはならできる。なぜなら、彼女は魔法という分野に対しては天才なのだから。
天才が1を学ぼうと思えば、10の実力がついてくる。ならば、今のなのはに不可能はない。彼女がようやく手に入れたものを手放さないためなら、悪魔にだって魂を売っただろうから。
そこまで求めるなのはに魔法に関して言えば、不可能の文字はない。事実、探査魔法は上手く発動し、なのはを中心にして、北から時計回りに海鳴の街を探査していた。
北、北東、東、南東、南、南西、西―――
そこまで探査してようやく引っかかった小さな小さな違和感。普通のなのはなら見逃したであろう違和感。だが、今、その波動を探して小さな信号さえも見失わないようにしていたのだ。故になのはが、それを見逃すことはありえない。
幸いにして見つけられたジュエルシードの反応になのはは口の端を吊り上げるような笑みを浮かべて、歓喜と共にそれを迎える。
「みぃぃつけたっ!!」
語尾に音符がつきそうなほどの上機嫌な声を出すなのは。
なのはが上機嫌なのも無理はない。彼女にとってはこれは賭けだったのだから。見つかれば、翔太が隣にいて笑える日々。見つからなければ、いずれ来る終わりに震える日々。それらを賭けていた。
そして、彼女は賭けにかった。見つかったジュエルシードはそんなに遠くにあるわけではない。なのはの靴にフライアーフィンを展開して、彼女はビルの屋上から飛び立った。
なのはがジュエルシードを肉眼で確認できたのは飛び立って5分ほど後の話。白いジャージを着ている男の子と薄紫色のジャージをきている女の子の内、男の子のほうがどうやら持っているようだ。
なのはは、近くの路地裏に着地すると、物陰から様子を伺った。
さて、問題はこれからだ。
地面に落ちていれば、面倒はなかっただろうが、人が拾っているとなると多少問題だ。どうやって手に入れるか。取り出してくれたら、簡単に―――
今日は、なのはに幸運の女神でもついているのだろうか、いや、きっとこれは翔太の隣にいられなかった不幸の帳消しなのだ。ならば、この幸運の連続も納得できる。
なのはがそう思うのも無理はない。取り出してくれないかな、と考えていた所に白いジャージを着ていた男の子が、ジュエルシードと思える蒼い宝石をポケットから取り出したのだから。
それを確認した瞬間、なのはは、物陰から飛び出し、白いジャージの男の子に体当たりを行った。突然、後ろから衝撃を受けた男の子は、当然のことながら受身を取ることもできずにその場に倒れこんでしまう。その瞬間、手にしていたジュエルシードが転がる。
その隙を見逃すなのはではない。倒れた男の子のことなど知らないといわんばかりにまっすぐジュエルシードに手を伸ばし
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