暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルってなんですか?
無印編
第十三話 裏 (士郎、なのは、すずか)
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
にせ、まだなのはは子供だ。だから、そこまで頭が回ったか分からない。だが、子供であるが故に親という立場からの許可は、なのはが行動する根拠には十分だったのだろう。

 なのはは、恭也からの一言を聞いて、ベットから降りて身支度を始めた。せっかく翔太に会うのだから、身だしなみぐらいはしっかりしたいものである。

 なのはが身支度を終えて、外に出たのは、恭也から声を掛けられて20分後のことだった。



  ◇  ◇  ◇



 胸の鼓動が抑えられない。
 会えないと思っていた休日に不意に出会えるようになった。ただ、それだけでなのはの胸の鼓動は高鳴る。

 ―――会ったら何を話そう。やっぱりケーキの話かな。

 そんなことを考える自分に笑える。つい先週までは、もう何も期待しないと思っていたのに。翔太の前では、なのはも話すことができた。
 それは、今まで話した誰かのように早くと急かすような様子もなく、なのはがきちんと話し終えるまで待ってくれるからである。

 ―――ジュエルシード発動してくれないかなぁ。

 翔太に聞かれれば不謹慎なことをなのはは考える。
 だが、なのはにとっては自然なことだった。そうすれば、翔太に会えた上に、ジュエルシードを封印したなのはは翔太に褒めてもらえるのだから。もし、そうなれば、今日という休日はなんと幸福な日になるのだろう。

 そんなことを考えながら、駅前の商店街を少々早歩きで翠屋を目指すなのは。

 やがて、翠屋が見えて、表のオープンテラスに見慣れた翔太の後姿が見えた。一年生の頃、憧れで見ることしかできなかった翔太の後姿はよく覚えている。彼の姿が見えた瞬間、なのははすぐにでも翔太に会いたくなって、早歩きだったのが、駆け寄るように足を速めて、豆粒程度だった翔太がはっきり見えるようになった頃、「ショウくん」と声を掛けようとして―――なのはは息を呑んだ。

 その場にいたのは翔太だけではなかった。一緒にいるのは、白いカチューシャをした黒髪の女の子と綺麗な金髪の髪を靡かせた女の子。両者ともなのはの目から見ても可愛いと思えるほどの女の子だ。そんな女の子と翔太が、笑いながらテーブルを囲んでいた。そして、テーブルの上に並んでいたのは、ケーキが載っていたであろうお皿が三つ。

 ―――え、あ、あれ……?

 それは、なのはと翔太が一緒に食べるはずのケーキではなかっただろうか。一緒に食べる姿を想像していたのに。翔太はすでにケーキを食べ終えていた。なのはの知らない女の子と一緒に。

 ―――ど、どうして?

 なのはにはこの状況が理解できなかった。翔太に会えると思って翠屋まで来たというのに来てみれば、翔太は他の女の子と一緒になのはと食べるはずだったケーキを既に食べ終えている。

 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ