無印編
第十三話 裏 (士郎、なのは、すずか)
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◇ ◇ ◇
本日の高町なのはの起床時間はいつもよりも相当遅かった。今日が休日というのもあったのかもしれない。しかしながら、昨夜、恭也から聞いた翔太の伝言が大きな要因であることは間違いないだろう。
―――今日はお休みだから、ゆっくり休んでね。
恭也が翔太の家に送るまで起きることがなかったなのはへの翔太からの伝言らしい。
なんで翔太の家に着くまでに起きなかったのだ、となのはは自分を責める。昨日は、あまりに嬉しいことがあって、気を緩めて寝てしまった。そのせいで、昨日は翔太に別れの挨拶すらできなかった。不甲斐ないことだ。
しかも、今日は朝から一緒にジュエルシードの捜索ができると思っていたら、翔太からの伝言だ。つまり、なのはが寝ているのは半ば不貞寝に近い。今日は、魔法を使うことも禁止されているのでいつまで寝ていても問題はない。なんでも、翔太が家族に魔法を使わせないように言ったらしい。
だが、いくら寝不足だったといっても、昨夜から考えれば軽く20時間以上も寝ているのだ。これ以上、寝ているとまるで目が腐りそうだった。しかしながら、起きたところでなのはにやることはない。倒れる前のなのはの生活は、起床、魔法の練習、学校、ジュエルシードの捜索、魔法の練習、就寝だったのだから、魔法の練習とジュエルシード捜索を禁止されては、学校へ行くか寝るしかない。
―――ショウくん、何してるかなぁ。
特にすることもなかったが、眠たくもなかったのでベットに横になって天井を見上げながら考えるのは、翔太のことだ。そういえば、昨日、看病してもらったのにお礼も言っていない。今度会ったら、言わないと。お礼もいえない子だとは思われたくない。
そうやって、思い出していくと昨日の翔太の言葉が思い出される。
『ずっと隣にいるから』
翔太は確かにそういってくれた。
「ショウくんと……ずっと一緒に……」
それは、実に甘美で、幸福で、素敵な響きだ。翔太の隣にずっといられる。唯一、自分を見てくれる彼がずっと隣にいる。だが、そのためにはもっと、もっと、もっと魔法を強くならなければならない。ジュエルシードの暴走体なんて一捻りにできるぐらいに。そうすれば、きっともっと翔太はなのはを褒めてくれるだろうから。
「えへへ……」
翔太に褒められる自分を想像したのか、やや緩んだ笑みを浮かべるなのは。
―――コンコンコン
気の緩んだなのはの耳に入るこの部屋のドアをノックする音。続いて聞こえてきたのは、聞きなれた兄の声だった。今日は、なのはを心配して、一日家に残っているらしい。
「なのは、起きてるか?」
「うん」
「そうか。父さんからだが、翔太くんが翠屋に来てるらしいぞ」
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