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リリカルってなんですか?
無印編
第十三話
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ねっ! あと、蒼い宝石だったわね。あたしたちも探してみるから」

「ありがとう。見つけたら、すぐに僕に教えてね」

 ここでしまった、と思った。最初に蒼い宝石であると説明したが故に青い宝石、ジュエルシードが危険物だと説明できない。ジュエルシードが触れれば、即発動といったものだとするとアリサちゃんが触れた瞬間にアウトなのだが……。

 ―――触れるだけなら大丈夫だけど、強く願ったりしたらダメかな―――

 ユーノくんに危険性を聞いたところ、どうやらそんなものらしい。しかし、強く願うって、実に発動条件が曖昧だ。こうなったら、彼女たちがすぐに僕に連絡してくれることを願うしかない。
 ここまで話しておいてなんだが、彼女たちが一緒に探すといわなくてよかった、と胸をなでおろした。しかし、そう思ったが、よくよく考えてみるとアリサちゃんとすずかちゃんが一緒に探すというのは無理だ。
 そもそも週の半分が塾で、それ以外は、お稽古事で埋められている。アリサちゃんがヴァイオリンで、すずかちゃんがピアノだっただろうか。つまり、一緒に探すとなれば、休日が主となってしまう。ちなみに、アリサちゃんの英会話教室は、平日が一日、休日の一日の二日で構成されていることが多かった。

「すずかちゃんも、これで納得してくれた?」

「私はもともと、ショウくんに何も聞いてないよ?」

 そうだった。すずかちゃんの基本的なスタンスはこれだ。他人に強く踏み込まない。もちろん、友人としての付き合いはあるのだが、他人の事情というか、内情に強く踏み込んでくることはない。事実、僕が何も言わずに帰ることには疑問を持っていただろうが、アリサちゃんのように問いただしてこないのがすずかちゃんだ。

「そうだけど……僕が何も言わなかったのも確かに悪かったからね。ごめんね、友達なのに今まで何も言わなくて」

「ううん、誰にだって言いたくないことはあるから、大丈夫だよ」

 そういって、いつもの静かな微笑を浮かべてくれるすずかちゃんだった。正直、彼女のあまり個人のことに踏み込んでこないという性格は今の僕にはありがたいことである。もっとも、そのスタンスが良いか、悪いかは別の話ではあるが。

「さ〜て、それじゃ、ケーキを食べましょうっ! それにユーノもいることだし」

「アリサちゃん、ユーノくんに触るなら食べた後だよ。動物なんだから」

「分かってるわよっ!」

「もう、アリサちゃん、そんなに急いで食べなくてもユーノくんは逃げないのに……」

 その後、しばらく僕らは久しぶりに友人同士の会話を楽しむのだった。



   ◇  ◇  ◇



 午後、アリサちゃんとすずかちゃんと別れた―――アリサちゃんはお父さんと、すずかちゃんはお姉さんと買い物らしい―
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