無印編
第十三話
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馳走しないなんてことは考えられない。
だが、すずかちゃんは、案の定、気が引けるような表情をしていた。きっと奢ってもらうということが気まずいのだろう。すずかちゃんは優しいから。
「すずか、いきましょう。ショウが今日までのお詫びに奢ってくれるって言うんだから」
「え? でも……いいの?」
心配そうに尋ねてくるすずかちゃん。それが僕の懐の心配をしているわけではないことを願いたい。まあ、昨日の夜、母親に頭を下げたのは事実だが。
「いいよ。アリサちゃんだけご馳走するなんてことはできないよ。だからさ、すずかちゃんも来てくれると嬉しい」
僕がそういうと、少し戸惑ったような表情をしていたが、すぐに笑顔になって、うんと了承してくれた。
◇ ◇ ◇
僕たちの前に並ぶショートケーキが三つ。本来、頼む予定だったシュークリームよりも二倍程度の値段がするそれは、決してアリサちゃんが無理を言って僕に奢らせたものではない。このお店のオーナーである士郎さんの好意によるものだ。
サッカーの試合が終了した後、翠屋に場所を移そうとしたときに士郎さんが話しかけてきてくれたのだ。応援に来てくれたお礼にケーキをご馳走してくれるらしい。僕だけではなく、すずかちゃんやアリサちゃんもだ。最初は断わったのだが、子供が遠慮するもんじゃない、とまで言われれば断わるわけにもいかず、僕たちはこうして外にある一つテーブルに三人で座っていた。
「さあ、事情を話してもらうわよ」
イチゴのショートケーキを食べるためのフォークを振りながらアリサちゃんが僕を問い詰めるように威圧する。それを見て事情が分かっていないすずかちゃんは、ショーケーキを一口食べた状態できょとんとしていた。
事情というのは、もちろん、この一週間のことである。急に塾にもアリサちゃんの英会話教室にも行かなくなったことを聞きたいらしい。それを話すことが今日の条件だったのだから仕方ない。僕は、昨日から考えていたことをポツポツと話し始めた。
この一週間、塾にも行かなかったのは、あるものを探していたから。探し物は蒼い宝石で、一緒に探している高町なのはちゃんの大事なものであること。僕も探しているのを見て、手伝うことにしたこと。それら色々なことを魔法という事実を隠蔽して、真実と嘘を織り交ぜながらアリサちゃんに話した。
「そんなのなのはって子が探してるだけでしょう!? ショウが塾を休んでまで探す必要ないじゃない」
「必死に探して、困っている子を放っておくわけにはいかないよ」
正確にいうと困っているのはユーノくんでなのはちゃんではないのだが、ここはそういうことにしておく。それに、アリサちゃんとの付き合いも長いので、僕が基本的に困っている子を放っておけな
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