無印編
第十三話
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の試合であるが、中々両者共に得点が決まらない。野球のようにホームランが一発出れば一点というものでも、ヒットでこつこつとつなげていけば確実に点数が入るというものでもない以上仕方ないだろう。入るときには入るが、入らないときには入らないというのがサッカーなのだ。その流れを如何様にしてつかめるかが勝負である。
そして、その流れは今日に関して言うと、幸いなことに翠屋JFCにあったらしい。前半を半分ぐらい過ぎたところで、センターリングで上がったボールを上手いことヘディングで処理して、次の選手がそのままボレーでシュートとしてつなげて、ボールはゴールネットにつきささった。
「きゃーっ!!」
隣のアリサちゃんとすずかちゃんが手をつなぎながら歓声を上げていた。その気持ちはよくわかる。僕も今のはすごく綺麗に決まったな、と思ったのだから。しかしながら、よくよく見てみれば上手いことボレーを決めたのは、先輩じゃないか。気づかなかった僕も僕だ。
その先輩は、笑顔のチームメイトに背中を叩かれたりしている。サッカーではよくある光景だ。
どこから駆け込んできたのかまったく分からなかったことを考えると、走るスピードで勝負していた先輩のスタイルは変わらないらしい。
その後は、特に荒れた様子もなく前半戦が終了し、五分の休憩の後、後半戦に突入した。
後半、最初の十分で、いきなり翠屋JFCがギリギリまで攻め込まれピンチになるが、ディフェンダーとキーパーのナイスセーブでゴールに繋がることはなかった。後半は、その後、翠屋JFCがさらに一点決めて試合終了となった。試合の結果は2対0で翠屋JFCの勝利だ。
「よかったじゃない、ショウが応援していたチームが勝ったじゃない」
「そうみたいだね。これもアリサちゃんとすずかちゃんが応援してくれたおかげかな?」
僕は茶化していう。だが、その可能性もないと言い切ることもできない。先輩曰く、可愛い女の子がいれば、士気が上がるらしいのだから。少し気障に言うとすれば、彼女たちは勝利の女神というところだろうか。
「それじゃ、次は翠屋に行きましょう」
その話を忘れてくれれば、と思っていたが、アリサちゃんは僕を逃がすつもりはまったくないようで、目で逃げるなよ、と語りながら僕に視線を送ってきた。それを見て、意味がわからないのがすずかちゃんだ。僕が最初に連絡したのはすずかちゃんで、シュークリームや事情の説明等は、アリサちゃんが勝手につけた条件なのだから当然ともいえる。
「うん、分かってるよ。すずかちゃんもシュークリーム食べに行こうよ」
こういうときは、逆らわないほうが吉だ。すずかちゃんも誘うが、これはアリサちゃんに条件を出されていたときから考えていたことだ。アリサちゃんだけご馳走して、すずかちゃんにご
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