無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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先させるのは何かが違うと思う。
誰かに話せない内容だとしても、自分たちには話してくれればいいのに、と思う。そうすれば、アリサも最大限力になるというのに。翔太は、たった二人しかいない心許せる親友なのだから。
アリサ・バニングスに友人は少ない。彼女に何か問題があるわけではない。多少、負けん気が強いもののクラスを引っ張っていけるリーダーの気質であるといえるので、むしろ人気者になるだろう。
だが、ただ彼女の容姿が彼女の友人が少ない原因となっていた。彼女の父親である米国の血を引いた艶やかな金髪。大人であれば、綺麗な髪だと褒め称えるだろう。だが、子供の世界にあって、その金髪はあまりに異質だった。
足が遅い、頭が悪い、線が細い、なんとなく。そんな理由でいじめに繋がる子供の世界だ。周りが全員、黒髪という日本において、金髪という明らかな異質をして、子供たちは受け入れることなどできなかった。
アリサも小学校に入る前は、よく金髪ということでからかわれたものだ。そのたび、彼女の母親は、アリサにそんな奴らに負けるな、と教育してきたのだから、アリサの負けん気はそこで形成されたのかもしれない。そんな要因で、アリサには友人が少なかった。また、負けん気も悪いところで顔を出してさらに友人ができなかった。
しかし、もう一人の親友である月村すずかと親友になれたのは、蔵元翔太のおかげだ。彼があそこで止めなければ、おそらく、自分は一人で寂しい小学校生活を送っていただろう。
なお、二人ともアリサの金髪については、綺麗だね、の一言で済ませてくれた。同年代の友達から自慢の金髪を褒められることはなかったので、嬉しかったことを覚えている。もっとも、変な事を言ったのならば、アリサと親友などやっていないだろうが。
アリサとしては、だからこそ自分の異質さを受け入れてくれた親友の二人には、何でも話して欲しいと思っていた。自分が力になれるのだから。翔太に対してその願いは、明日叶いそうである。
「あ、そうだ」
パタパタとベットから降りたアリサは自分のクローゼットへ駆け寄り、クローゼットを開いて、中身を見る。クローゼットの中は色とりどりの可愛い私服で占められていた。明らかに普段着用ではない。アリサは、この中から明日の洋服を選ぶつもりだ。
―――アリサ、その翔太って子ちゃんとキープしておくのよ。
不意に翔太のことを話していたときの母親の言葉を思い出したからだ。キープというのはよく理解できなかったが、そのキープするという方法の中に翔太と会うときは可愛い洋服を着るように、と言っていたような気がするので、こうしてアリサは明日のための洋服を選んでいるのだ。
「さ〜て、どれにしようかしら?」
久しぶりに親友と遊べる明日を想像して楽しい気分にな
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