無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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や、高町家にとって一番聞きたいことだった。今までは聞く機会がなかったが、なのはは恭也の背中で寝ているし、自分と翔太の二人しかいない絶好の機会だった。だからこそ、今日は問う。
「君は、なのはの何だ?」
蔵元翔太という少年の位置づけが高町家には分からなかった。正直言えば、なのはを魔法というファンタジーの世界に誘った張本人でしかないのだが、最近の話の中で翔太に関する会話についてのみなのはが饒舌になるのだ。
これは、もしかして―――という期待が高町家の中に生まれるのも変な話ではなかった。
「友達ですよ」
何でそんなこと聞くんですか? といわんばかりに怪訝な顔をして即答する翔太。
それは、恭也が、高町家の全員が望んだ答えだった。なのはに友人が。それを求めて一年間何かと行動してきたのだ。だから、こうして実際になのはの友人だという少年を前にすると感動もひとしおだった。
恭也は滅多に浮かべない柔和な笑みを浮かべて、少年とも同年代とも思ってしまう翔太に言う。
「そうか。これからも、なのはをよろしくしてやってくれ」
―――父さん、母さん、なのはに友達ができたようだ。
一刻も早くこの事実を家族に伝えたい恭也だった。
◇ ◇ ◇
アリサ・バニングスにとって蔵元翔太はたった二人しかいない親友の一人だった。
ぴっ、と携帯の通話を切るボタンを押して、携帯を放り投げるとアリサは、ばふんとベットに向かって仰向けに寝転がった。天井に向けられた顔に浮かんでいるのは、満足げな表情だった。電話がかかってくる前まで、電話をかけてきた翔太に、翔太をつれまわす見知らぬ女の子にむかついていた気分が嘘のようだ。
先ほどまでの通話の相手は、アリサの親友の一人である蔵元翔太だ。何でも明日、サッカーの試合があるから見に行かないか、という誘いの電話だった。サッカーを見ることは、彼女の父親の影響もあって、好きなのだが、最近の翔太の行動を思うとそう簡単に頷くこともできず、翔太にシュークリームと最近の事情を聞くことを条件に頷いた。
―――ショウがいけないんだから。
アリサにとって翔太は、たった二人しかいない親友の一人だ。だからこそ、最近の自分たちよりも誰か―――聞いた話によると高町なのはという女の子を優先させている最近の行動が許せなかった。聞いても、何をやっているかはぐらかすし、塾に一緒に行こうと思えば、やはり、高町なのはという女の子を優先させる。何より許しがたいのは、週に二回程度の割合で開いているアリサとの英会話も休んだことだ。やはり、高町なのはを優先させて。
むろん、アリサとて、すべて親友である自分たちを優先させろとは言わない。だが、事情も一切話さずただぽっと出てきた女の子を優
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