無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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「ショウくんと一緒に……」
それは今まで考えたこともないことだった。ずっと一人だったから。誰かと一緒に何かをした記憶はない。だが、もしも、もしも、翔太と何かを一緒にできたのなら、それはもしかすると喜びを共有することになるのだろうか。翔太と共有する何かを持つことができるというのだろうか。
翔太と共有する何かという言葉は、なのはにとって賛美の言葉を貰うことと同等程度の甘美な言葉だった。
「そう。だから、こんなに倒れるまで頑張らなくてもいいんだよ」
翔太は笑顔で、そっとなのはの肩を押して、ベットに寝かせる。横になった瞬間、短時間での驚愕と絶望と希望が入り混じることが多かったせいか、眠気が一気に襲ってきた。
「さあ、もう少ししたら恭也さんが来てくれると思うから、それまでお休み。僕もずっと隣にいるから」
―――ずっと隣に。うん、私はもっと魔法頑張るから。だから、ずっとわたしのとなりに……。
もしも、それが叶うとすれば、どれだけの幸いをなのはに与えてくれるのだろう。
そんなことを考えながら、またなのはは暗闇の中へと意識を落とした。
◇ ◇ ◇
高町恭也にとって蔵元翔太という少年は実に奇々怪々な存在だった。
初めて言葉を交わしたのは、ジュエルシードという魔法の存在に彼の妹であるなのはが初めて触れた晩のことだ。小学生しからぬ言葉遣いをする少年に実に面食らったものだ。ジュエルシードという魔法の産物を探す行動に同行する今となっては、さらに翔太の行動を見ることや言葉を交わす言葉を聞いて、時々、小学生ではなく自分と同年代じゃないか、と思うことさえある。
両親の話によると、あのなのはが不登校だったときに友達がいないという重要なことを教えてくれたのも彼だという。なるほど、普通の小学生なら無理だが、彼なら納得だ、と思ってしまう。
行動にしても、なのはが歩道をあるいていると必ず翔太が車道側を歩くし、歩道橋を歩くときは一段下にいる。小学生としては考えられない行動だった。もっとも、恭也からしてみれば、なのはに害があるわけではないので、放置している。
しかしながら、恭也の中で翔太が奇々怪々な存在であることは変わらない。理解できるとも思わないが。
だが、そんな奇々怪々である翔太であるが、一つだけどうしてもはっきりさせたいことがあった。
「なあ、翔太くん」
「なんですか? 恭也さん」
なのはが倒れたと聞いて、急いで学校に駆けつけたとき、保健室にいた少年―――翔太と一緒になのはをつれて行き、すっかり日が暮れてしまったので、なのはを背負って、翔太を送っている帰り道、無言だった二人の間の静寂を破るように恭也が口を開いた。
それは、恭也にとって、い
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