無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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の魔導師としての資質が、すべてが目の前のリアルを現実だと告げている。
―――どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして?
「ど、どうして? どうしてショウくんが魔法を使えるの!?」
胸の内の疑問は、知らず知らずのうちに声になっていた。いつも、嫌われることを恐れて思ったことを声に出さないなのはにしては珍しい、否、初めてのことだった。そのことに気づかないほどになのはは切羽詰っていた。
だが、そんななのはの感情を知ってか、知らずか翔太は、身体を乗り出してまで問い詰めるなのはに少し驚きながらも平然と答える。
「どうしてって……ユーノくんに習って練習したからかな? 僕にも魔力はあったから」
―――そんなはずない。
それがなのはの正直な感想だった。
「で、でも、あの時、『僕にはできないから』って」
そう、あの時確かに翔太は言ったのだ。自分にはできない。なのはにしかできないから助けてくれ、と。もしも、あのフェレットに教えてもらえるだけで魔法が使えるのならば、自分など必要なかったはずだ。
これは、なのはのくもの糸のような細い希望だった。仮に、これで翔太が、「いや、使えるようになったんだよ」などと答えたなら、なのはは一生、心に残る傷を負うことになっていただろう。せっかく手に入れたと思っていたものも、しょせん、翔太によって簡単に追いつかれるもので、結局自分には何もなかった、と強く認識してしまうものになっていただろから。一度、手に入れてしまったからこそ、その絶望は深い。
だが、ギリギリのところで、なのはの希望の糸は繋がっていた。
「うん、僕にはできないよ。ただ、魔法が使えるだけ。ジュエルシードの封印ができるのはなのはちゃんだけだよ。僕ができるのはお手伝いだけ」
よかった、となのはは心の中で安堵の息を吐いた。本当なら翔太の言葉だからと無条件に信じるのは拙い話である。もしも、これが翔太の嘘であれば、なのはの希望はすべて潰えるのだから。だからこそ、なのははしっかり確認するべきなのだ。
だが、あえて翔太に問いただすことはしなかった。否定されることが怖かったから。ジュエルシードを封印することが、翔太には無理だというこの答えを信じたかったから。だから、あえてなのはは翔太の言葉を確認しなかった。
だが、今よりももっと強くなるとさらに決意を新たにした。無理だと言いながらも翔太なら、という考えがなのはにあったから。ならば、翔太でさえも追いつかないほどに強くなるしかない。翔太が魔法を覚えようと思わないほどに。
だが、次の翔太の言葉が、なのはに思いもよらない喜びをもたらす。
「だからさ、もう少ししたら僕もなのはちゃんと一緒にジュエルシードの封印ができると思うから」
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