無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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の頭の中は混乱の極みにあった。なのはの言葉が、翔太の癪にさわり、怒らせ、さらに倒れた原因を知られて呆れられた。その事実がなのはを混乱へと誘っていた。
このままでは、翔太に、もういいよ、といわれてしまうかもしれない。その不安は、なのはの中で最大の恐怖だ。だからこそ、なのはは必死に考える。この状況を打破するための行動を。だが、そう簡単に脱出できるのなら、苦労などしない。
―――でも、それでも考えないと、考えないと、ショウくんに……。
「なのはちゃん」
そんな風に混乱の極みにあるなのはに翔太が呼びかける。
―――もしかして、許してくれるのかな?
そんな淡い期待を抱いてなのはは被っていた布団から、半分だけ顔を出す。なのはが見たのは翔太がいつも浮かべる優しい笑み。だからこそ、その期待が本当になるんじゃないか、と希望を抱いた。
「ちょっと見てて」
だが、その希望は、それ以上の絶望で塗りつぶされることになる。
ぞくっ、と背筋に走る悪寒。それがなのは本来のものだったのか、あるいは魔導師としてのものなのかは分からない。だが、その悪寒を感じた瞬間、なのははとても嫌な予感がした。できれば外れて欲しいと思うほどの大きな嫌な予感。だが、得てしてそういう嫌な予感は当たってしまう。今回も、なのはの嫌な予感は見事的中した。
翔太が掲げた手に浮かぶ白い光を放つ球体。
魔法に関して言えば、翔太の数十倍は先に進んでいるなのはは、言われずともその正体に気づいていた。
それの正体は、魔法だった。
―――あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ。
あまりの衝撃に声を出すことはできなかったが、胸の内でなのはは叫んでいた。
目の前の現実が信じられなくて。その現実を作っているのが翔太であることが信じられなくて。
―――嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそだ。そう、うそだよ。わたしはまだゆめのなかにいるんだ。
現実が信じられなくて、目の前で起きていることが信じられなくて、信じたくなくて、なのはは現実を否定していた。
当たり前だ。なのはが翔太と一緒にいられる理由はただ一つ。翔太が使えない魔法をなのはが使えるというただ一点なのだから。そのおかげでなのははあの翔太に賛美の声ももらえるし、あの温かい笑顔も向けられる。もしも、あの蔵元翔太が魔法を使えるようになれば、なのはなど必要なくなり、あの賛美の声も、温かい笑顔もすべてもらえなくなる。一度、あの甘美な感覚を体験をしてしまったからこそ、それを手放すことはなのはにとって考えられないほどの絶望だった。だからこそ、一層目の前の現実を否定したかった。
だが、なのはの視覚から入ってくる情報が、なのは
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